2006-01-01から1年間の記事一覧
ところで、10/6の新文芸坐に興味があります。映画監督・沢井信一郎の特集最終日ですが、内容が『仔犬ダンの物語』『17才 旅立ちのふたり』の二本立て、それ以外の上映はありません。入れ替えせいではないですから一日中入り浸ってもいいわけですが、どんな客…
「『人間の手がまるで全然入っていないかのように、手を入れている』」僕はひろ子の言葉が気に入って繰り返した。 (保坂和志 『夏の終わりの林の中』) 以前から、映画で自然体と呼ばれるものは、すべて作為的な自然なんだと、これはほとんど自分に言い聞か…
幸子(小山田サユリ)はいつでも進路を自分で決める。高校も大学も、家族の誰にも言わずに。そして今回、彼女が決めたのは大使館の派遣員。しかし誰にも相談しなかった結果、タヒチとハイチを間違えて希望していたことに、採用されて初めて気がついた。しか…
去年、会社のやむにやまれぬ事情から遊びにいけなかった「みちのく国際ミステリー映画祭」。年々、サイトでの情報提供の質が落ちていっているあたりに、運営の厳しさをうかがわせますが、そもそも更新作業もろくすっぽできないようなサイト運営はよそうよ。 …
ただなんとなあく観にいっただけの作品だったのですが、これが完全に打ちのめされたといいますか、ただただ「うまいなあ」と心で連呼し続けました。きわめて静的な描写、自然光による明暗の表現、これでもかというぐらいに削ぎ落とした科白。映像がストーリ…
ポン・ジュノしてやったりといった作品でした。彼にソン・ガンホ(殺人の追憶)とペ・ドゥナ(吠える犬は噛まない)とくれば鉄板だと、過度の期待をして劇場に向かいましたが、それでもしっかり楽しませてくれる。あの監督は底なし沼の才能ですな。 漢江で売…
この夏、アニメの双璧というと、この作品と『時をかける少女』でしょう。長らく頭を悩ませた世代交代がいよいよ進みだす、よい収穫の夏だったと思います。細田守と宮崎吾朗は同い年なのですね。 経歴の違いがあるので一概な比較はできませんが、前者は追う立…
ああこの作風をもう観られないんだと、暗転して、まるで初めて知ったかのように悲しくなりました。それ以上の感想はないと思う。 今作も『父と暮せば』のように、舞台演劇の風合いが強く、キャストもカット数もかなり抑えてつくられています。カット数はとも…
故郷はとても大事だと思う。故郷は自分という人間がどうあるのかを決定づける座標軸になる。ちょうどいま、鈴木邦男『愛国者は信用できるか (講談社現代新書)』を読んでいて、自分を愛し、家族と社会を愛し、故郷を愛してこそ、愛国者になれるということを、…
五月病というのは聞いたことがあるけど、八月病なんて。でも、この倦怠感は八月病というほかない。昨日は出かけようかと思った途端、急激な胃痛で断念し、一歩も外に出なかった。ストレスがパーッと飲んだところでちっとも解消されないことが原因だと思う。…
予告編を見た限りでは、"どうせ下らん作品じゃろうが、わいにはもっと見ないといけない作品があるけん(暑すぎて言葉があやしい)"と高をくくっていたのですが、あまりにも好評を見すぎたものですから、ついつい劇場に足が向きました。いつもはシルバーシア…
(ネタバレを回避したい方はそっと目を閉じて、一番下までスクロールしちゃってください) 今日はふたつもすばらしいものを観てしまって、お腹いっぱいですよ。そのぐらい、こちらもよかった。前作は(感想でも書いたように)お世辞にも面白いとはいえなかっ…
僕がいちいち書くまでもなく、各所で好評ですね。そして僕もまた、絶賛したいと思います。たいしたもんだ。これはすごいことになってますよ。 この芝居にはいろんな褒め方があると思うのですね。いままで彼女たちがやってきたミュージカルのなかで一番いいと…
そっかあ、「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」は中止かあ。仕方ないけど、寂しいね。こうやって中止にして、「なあんだ、なくてもいいじゃん」といわれるのが一番しんどいよね。一度は行きたい映画祭のひとつだっただけに、いつか復活してくれること…
このブログの使い道を考えないとなあ。いくらなんでもサボりすぎだ。 さてと。 なるべくしてなったわけではありませんが、僕は原作を読まないで映画を観ます。しかしなんとこの作品の原作だけは、ちょっとだけ読んだことがあるんです。普段どうしたって漫画…
明日から出張なので、いまのうちにこんこんについてめいっぱい書いてやれ、と思ったけれど、結局なにもありませんでした。もう書き尽くしたのです。この先も、滅多に話題にすることはないでしょう。 でも、それは忘れるっていうことじゃない。こんこんは、い…
最近、映画に勝てません。いや、そもそも勝ち負けってなんだという指摘もさることながら、どんな勝負だろうと勝てるわけがないという気もしますが、映画は勝負です。そして対話です。最近の場合は、対話不全には陥りませんが、じわりじわりと土俵の外へ追い…
この作品を観たのは先週の木曜。その直後から、感想をどうやって書こうか悩んで、まだ答えは出ません。きっとずっと出ないのでしょう。 全体の構成にこそ驚きはないのですが、出過ぎない台詞のひとつひとつに刃物がついているような感じで、作品に緊迫感を与…
がはははははははは(冒頭から失敬)。なんだかすごい映画を観ちゃいましたよ。ヒットしているというからどんなものかと思ったら、今年最大の天然B級ではないですか。爆笑的作品なのに、横の男が目頭を抑えてましたよ。って、言いすぎでしょうか。 かつてお…
昨夜、帰宅すると、玄関にメール便が引っ掛けてありました。紺野あさ美写真集「See you again」 [DVD付]作者: 橋本雅司出版社/メーカー: ワニブックス発売日: 2006/07/08メディア: 大型本 クリック: 846回この商品を含むブログ (154件) を見る (相変わらず…
23日は出張と相成りましたので、こんこん卒コンのチケットを競り落とすでもなく、はたまた映画館に行くでもなく、ぼんやりと休日を過ごしています。もっともこんこんについては、5月のコンサートですっかり蹴りをつけたつもりでいますので、あとは暇潰しみた…
すごい、ここは映画ブログみたい。われながら、いい加減なことを書きづらいこの雰囲気は、いつからできたのでしょうか。 さて。 いま、シングルV「Ambitious!野心的でいいじゃん」 [DVD]アーティスト: モーニング娘。出版社/メーカー: ZETIMA発売日: 2006/06…
完成から実に3年、本国公開時から待望していた作品を、ついに観てまいりました。ペ・ドゥナ出演作は見逃しません。そして今作は、これまでの出演作のなかでも、抜群に可愛いのでした。そしてそして見事なコメディエンヌっぷりです。 作品自体は、さすがCMデ…
なにも信じるものがなくても、生きていくことができるのでしょうか。「リスク社会」と呼ばれる現代、しかし大きな変革はなにもなく、いつもの生活が永遠に続くように思われます。なのに親が死に、恋人が死に、親友が死に。その親友が死んだ分、自分は生きて…
まさかこんなにまっすぐな作品になっているとは思わず、圧倒されたまま劇場をあとにした、というのが正直なところです。主人公とその周りの幾人か(それも後半にはさらに絞られる)だけをひたすら捉えつづける。余計なものは撮らない。余計なことは語らせな…
木曜の日中だというのに、劇場がパンパンになるというのはどういうことだ。みんな働けよ。せっかく久しぶりに代休をもらったメリットが感じられないじゃないか。と、みんなで考えていたら面白いかもしれない。 さてこの作品、前作『下妻物語』を上回るコテコ…
山田洋次『たそがれ清兵衛』は、仕事より育児を優先するサラリーマン武士が、藩命のために、やりたくもない人斬りをやる羽目になり、鮮血の飛び交う死闘を繰り広げます。男手ひとつで子と老いた母親を養う、しかし組織のために縁のない男に刃を向ける。そこ…
ここに書くのも、映画館も久しぶりなので、かなり勘が鈍っていて困っています。 この作品の舞台、帯広には何度か足を運んだことがあるのですが、長閑ないい街だと思います。ちょっと車で走れば、だだっ広いだけの畑が一面に広がり、冬になれば孤独がいや増し…
連休が明けた途端に注目作が堰を切ったように公開し続け、もうどうにも対処し切れません。本当はこれを書いたあとにもう1作観たいところですが、疲れちゃってるしお腹はゆるいし。ほんとどうしたらよかんべ、と思いながら、感想を書きます。でもとりあえずお…
ネタバレがお嫌いなあなたのために、前振りを書いて、いまのうちに目をつむる権利をあげます。 突然ですが、僕が「推し順」について言及しないのには、ふたつの理由があります。ひとつはよくある話で、たとえ下位であってもみんな好きなので、下手に細かい順…