カルフールより愛を込めて 『春の日のクマは好きですか?』

完成から実に3年、本国公開時から待望していた作品を、ついに観てまいりました。ペ・ドゥナ出演作は見逃しません。そして今作は、これまでの出演作のなかでも、抜群に可愛いのでした。そしてそして見事なコメディエンヌっぷりです。
作品自体は、さすがCMディレクター出身とあって、きれいな映像の連続と、タイミングよく出されるジョークで、なかなかテンポよく仕上がっています。もっといえば、図書館の画集に書かれたメッセージで架空の恋愛が進行していくというアイデアがいいですね。奇抜というよりは、マンネリ構造を残したままの斬新さがあります。
そう、日本には日本の愛すべきマンネリがあるように、韓国にも同様のそれがあって、きっと観客は安心して笑っていられるのでしょう。最後にきっちりお涙をもらうあたりがまたいい。夜中にふたりでラーメンを食べるシーンもいい。アジア映画にとって、食はなくてはならない要素です。脚本と編集に粗さがあるのがいけませんが。
しかしこの作品の魅力は、なんといってもペ・ドゥナなわけです。それ以外のものはございません。いままでさまざまな作品の彼女を観てまいりましたが、今回ほど、その容姿の魅力を活かした作品はないかもしれません。数年前、舞台挨拶で目撃した彼女は、モデルをしていたというだけあって、痩せていて長身で、顔がものすごくちっさかったのです。観客はついそのことに気付かずにいる、というのが彼女の演技の特徴で、そこがいいと思うのですが、勿体無くもありました。
いろんな衣装がありましたが、やっぱりカルフールの制服でしょう。赤いリボンのあるシンプルなデザインですが、それがまたよく似合っている。あれは実際のものなんだろうか。僕の勤め先の近くにもあるけれど、制服に感激した覚えなんてないなあ。だいいち、従業員の年齢層が高すぎるしなあ。
さて、締め方を失いましたが、とにかく観たあとに元気になれる感じがいいですね。ひとりより、ふたりで観にいったほうがいいと思いますよ。書いていてとほほな感じですけど。