老人のための映画館講座(再掲)

年に何度か遭遇する、ものすごく平均年齢の高い劇場。これに遭遇するたびに、これでもこの国を作ってきた立派な人なんだろうかと思ってしまう。そこで、再掲。
高校生だらけの劇場もうるさいので気をつけなくてはならないが、彼らの場合、本編が面白くなるとだいたい静かになる。なので、とくに注意したこともないし、刺されたこともない。
しかし老人は厄介である。彼らは、本編中のほうがけたたましい。何度か注意したことがあるが、今日は老人だらけということもあり、目に余る動作が多かった。
きっと、映画館でどうすごしたらいいのか分からないのだろう。そう思うことにして、ここに、老人向けハウツーを記しておく。これだけ守れば、お行儀よく映画を観られて、誰も不快にならず、作品に集中できる。

劇場が暗転するまでに席に着きましょう

暗くなってから、近くの客に「あなたの席は何番ですか」などと尋ねないようにしましょう。座席表は劇場の入り口にあります。もしもの場合はそれを見てから入場しましょう。

帽子は取りましょう

帽子は日差しのあるところだけで十分です。後ろの席の視界をできるだけ広く保ちましょう。また、本編が終わっても、すぐに帽子をかぶる必要はありません。まるでどこかの布教活動みたいです。

携帯電話の電源を切りましょう

この常識を老人が守れない理由が分からないと思ったのですが、どうやら、電源の切り方を知らないようです。前日に練習してきましょう。マナーモードもやめましょう。老人は電話が着たら、出ますから。

食べたいものは事前に取り出しましょう

本編が始まってからカバンのお菓子を出し始めるのも老人の特徴ですが、うるさいです。とくにお菓子のパッケージに使われているビニールは、音が大きく、とても不快です。あらかじめひざの上に置く、袋を開けておく、というぐらいのことはしましょう。個包装してあるものは控えましょう。

草加せんべいを食べないでください

ただでさえバリバリとうるさいのに、入れ歯だとなお響きます。

いびきや寝言はしないでください

寝るのは自由です。ただ、静かにしてください。いびきをかいたり、意味なく「うわぁ」とか言わないでください。健康ランドではありませんよ。

しゃべらないでください

次の展開を話し合うのがおばさん、年配の役者が出てくると「あの人も病気してねぇ」とささやくのが老人です。どちらもやめてください。

スタッフロールになった瞬間に席を立たないでください

家に帰るまでが遠足、映倫マークが出るまでが映画です。あなたを楽しませてくれたスタッフの名前が出るのです。感謝しましょう。

できれば平日にどうぞ

毎日が日曜日でしたら、できれば平日にお楽しみください。土日は、休みの取れない労働者に見せてあげてください。無理は申しませんが。
それでは、また映画館でお会いしましょう。