2007-04-01から1ヶ月間の記事一覧

作風を変えて、その結果は 『あしたの私のつくり方』

寿梨(成海璃子)は、どこにでもいるような父親と母親、そして兄と暮らしていたが、両親はなにかと言い争いが絶えない。そのなかで自分はかすがいとしての役割をもち、私立中学を受験し、家族の均衡を保とうとする。しかし受験に失敗し、両親は離婚する。数…

圧巻のピアノ演奏 『神童』

うた(成海璃子)は、言葉を覚えるより早く譜面を読め、ピアノが弾けた。天才だ。しかし父亡き後邸宅を追われ、ピアノも抵当に入れられたため、小さなアパートで英才教育の缶詰にされている。思春期の故か、母親には反抗的で、ピアノを弾く気になれない。し…

感動の頒布会 『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』

最近、「昔」としての昭和の捉え方に変化を感じている。僕の生まれたころ(1980年代)から物心ついたころの「昔」といえば間違いなく戦中戦後だった。とにかく貧しかったとか苦しかったとかいう負の部分が前面に押し出されていた。それが00年代に入ると、『…

市川準インタビュー

http://www.ocn.ne.jp/toku/tj/ 新作『あしたの私のつくり方』の公開を前にして、インタビュー動画が公開されています。DVDの特典映像はあるものの、公のメディアに登場するのは極めて稀ですので、注目してください。ぼそぼそっと語る独特の語り口はいつもと…

意外にも犬童映画の真骨頂 『黄色い涙』

僕の頭の中で犬童一心といえば、いつまでも『大阪物語』である。もっともあの作品では脚本の担当だったのだけれど、その後、彼がやはり池脇千鶴を主演にして長編を撮ったということで(『金髪の草原』)、記憶が決定的となった。そして『ジョゼと虎と魚たち…

ひだまりのなかの傑作 『檸檬のころ』

高校3年。加代子(榮倉奈々)は東京の大学に進学することに決めていた。東京に行ってみたかった。ブラスバンドの指揮者として野球部の最後の試合を見届けたある日、エースの富蔵(柄本佑)から告白を受ける。はじめはぎこちなくも徐々に打ち解けてゆくふたり…

ホリキタ! 『アルゼンチンババア』

待っていた。みつこ(堀北真希)は待っていた。母親が死んだときからどこかへ行ってしまった父さん(役所広司)が、ただいまと言って、冷蔵庫に冷やしてあるビールをぐいと飲み干すのを。でも、いつまで経っても戻ってこない。そればかりではない。近所にあ…