2007-01-01から1年間の記事一覧

年末の3本勝負 感想は控えめで

先日、わがベストテン候補をいくつか挙げました。その際には書きませんでしたが、敬愛する市川準監督の作品を入れられなかったのはたいへん悔しいです。今年はごり押しもできませんでした。きっとまたいいスポンサーを得て、グッとくる作品を撮ってくれるで…

今日が何の日でもいいから早く年を越したい

土曜日のことになりますが、ひさしぶりに競馬場に行ってまいりました。雨に恵まれ、期待通りの惨敗でした。あれだけの集中力で望んだというのに。ついでに言えば有馬記念も完敗。切った馬しか前にいませんでした。ほかで使い果たす運でもなかろうに。 という…

ラジオとともにあった

先日の『Little DJ』ではないけれど、小学生の終わりごろから今日まで、ラジオが本当に身近にある。はじめてその世界に触れたのは、おそらく父親が海外出張の際に持ち歩いていた短波ラジオが不要になって、僕が自由に触れるようになってからだと思う。遠いと…

師走に涙の借金取り到来か

正月映画の季節がやってきた。各社、この時期に自信作を投入してくるとあって、師走は何かと忙しい。あくまで偶然とは思うが、今日公開された2作がどちらも、わが故郷・北海道を舞台にし、昭和を回想し、白血病を取り扱っている。そして、自信作らしく、観客…

グッとくるものはないけれど 『椿三十郎』

9人の若侍は藩の汚職を追及しようとしている。もっとも話の分かるだろう大目付の菊井に持ちかけたところ、ぜひ話を聞きたいというので、彼らは社殿に集まり、事の行方について話し合っている。ところがその社殿、見知らぬ浪人(織田裕二)の寝床で、話をすべ…

機微の積み重ねがある一瞬に至るまで 『愛の予感』

北海道・勇払、冬。男(小林政広)は、我が子を同級生に刺し殺され、失意からこの街の住人となった。いまは下宿先から製鉄所に通っている。下宿の食堂には、無口で下を向いてばかりいる女(渡辺真起子)が勤めている。見覚えがあった。加害者の母親だ。男に…

日本映画だ、だから面白い 『ミッドナイト イーグル』

戦場カメラマン・西崎(大沢たかお)は、もう戦争に行きたくなかった。シャッターを押しても誰の命も救えないと思っていた。いまはひとり、日本アルプスに登って、自然を撮影して過ごしている。その山中に、謎の光が落ちていった。その直後の自衛隊機のスク…

ぶらりと西へ

先週末のこと、会社に休暇をもらう予定だった日をよくよく考えてみたら、およそ休んでいられないスケジュールになっていることが判明した。そこで上司にそのことを告げると、「じゃその日は出勤して、あさってから3連休にしていいよ」との言葉が。うやうやし…

スマートで丁寧なロードムービー 『逃亡くそたわけ―21才の夏』

学生の花ちゃん(美波)は高校生の時分から躁と鬱に悩み、幻聴と幻覚にも苦しんでいて、両親は福岡の病院に入れた。その病院をプリズンと呼ぶ花ちゃんは、一生をここで暮らしたくないと、同じく鬱病で入院中のなごやん(吉沢悠)を連れて脱走してしまう。何…

ゆるきなかにも礼儀あり 『転々』

大学8年の文哉(オダギリジョー)には84万円の借金があった。ある日、突然に借金取りの男(三浦友和)が部屋に上がりこんできて、3日以内に金を用意するよう言いつけるのだが、文哉に策があるわけがない。ところが数日後に現れた男は、金をやるから自分に付…

骨太な作品に舌鼓を打つ 『犯人に告ぐ』

6年前、大晦日。巻島(豊川悦司)は誘拐犯を捕獲するため、張り込みをしていた。しかし、寸でのところで捕り逃し、子供は殺され、その両親に人殺し呼ばわりされ、左遷する。足柄でそれなりにのんびり過ごしていた巻島だが、かつての上司・曾根(石橋凌)が本…

予定調和の国民映画、だからこそいい 『ALWAYS 続・三丁目の夕日』

いわゆる「涙のカツアゲ」*1から2年。夕日町が帰ってきた。駄菓子屋の茶川(吉岡秀隆)は少年雑誌向けの小説を書きながら、淳之介(須賀健太)と貧しい暮らしをしていた。そこにふたたび淳之介の実父(小日向文世)が現れ、息子を連れ戻そうとする。それを嫌…

これを痛快と呼ばずしてどうする 『やじきた道中 てれすこ』

新粉細工職人の弥次郎兵衛(中村勘三郎)は、小銭稼ぎのために指の模造を依頼する女郎の喜乃(小泉今日子)にすっかり惚れてしまった。足を洗わせるほどの稼ぎもないつかず離れずの関係に、喜乃が仕掛けて遊郭を足抜けしてしまう。そこに偶然出くわした、弥…

慰留を留保

小沢代表、慰留を留保 民主幹部の要請に http://www.asahi.com/politics/update/1105/TKY200711050300.html そのうち訂正されてしまうのかもしれないけど、どうやったらこんな変な日本語の凡ミスができるのか。朝日さんだから嘆かずに笑っていられますが。や…

佳作以上名作未満 『オリヲン座からの招待状』

オリヲン座を閉館することにした。留吉(原田芳雄・加瀬亮)は、ゆかりのある人たちに、最終興行への招待状を書いた。思えば大津から無一文で京都にやってきてから、数十年というときがたっていた。トヨ(宮沢りえ)は先代と昭和25年にオリヲン座を開いた。…

テレビが土足で上がってくる 『自虐の詩』

大阪。オンボロのアパートで若いふたりが暮らしている。イサオ(阿部寛)は極道から足を洗ったが、ろくに働きもせず、舎弟たちと遊んでばかり。虫の居所が悪くなると、ちゃぶ台をひっくり返して食事をだめにしてしまう。そんなイサオをどういうわけが愛して…

生きることと生きていることの強烈な表現 『Mayu ―ココロの星―』

まゆ(平山あや)は医者になりたかった。子供のころから、母親(浅田美代子)は幾多の病に冒され、克服してきた。その姿をずっと見てきた。しかし医学部への3度のチャレンジも実らず、出版社に勤めるようになった。恋人ができ、母親も何度目かの入院生活を終…

さよならだけの人生へ 『クワイエットルームにようこそ』

ライターの明日香(内田有紀)は多忙な毎日を暮らしていたが、気がつくと、真っ白な病室のベッドで拘束されていた。そこは精神科病院のなかでも隔離された"クワイエットルーム"だった。どうして隔離されたのか。やがて同居していた鉄ちゃん(宮藤官九郎)が…

新しい言葉が欲しい 信じられなくてもうなずける何かが

毎日なんか更新していないのに言うのも憚られそうなものだけれど、3連休のあとに待っているのは3日間の出張で、そのあいだはここをいじるのもお預けになる。次はいい加減、新作の感想といきたいところだ。 さて、会社を19時頃に抜けられたのはなかなかよいこ…

なんにもありません

実はというと3連休だった。法事のために両親が東京に来るというから休みを取っておいたのだけれど、突然その法事が中止になるという事態が起こり、それ以外になんの計画もしていなかったものだから、遠出することもなくなんとなく過ごしてしまった。もっとも…

大きな問題と小さな楽しみ 『サウスバウンド』

東京で暮らす二郎と桃子の兄妹の父・一郎は(豊川悦司)かなりの変わり者で評判だ。かつて過激派のリーダーで鳴らしていたらしいが、そんなことよりも、正義感だけは強く、偏屈でろくに働かず、貧乏だということのほうが問題である。しかし父親譲りの正義感…

久しぶりのちゃぶ台返し 『クローズド・ノート』

教師志望の学生・香恵(沢尻エリカ)が引っ越してきた古いアパートには、鏡のついた扉があり、その向こうの小さな棚には、前の住人・伊吹(竹内結子)が取り忘れた小物が残されていた。そのひとつに、日記があった。それを紐解くと、彼女は小学校の教師で、…

これは浄土ムービーだ 『めがね』

春。温暖な小島に飛行機でやってきたタエコ(小林聡美)は、大きなトランクを引きずって、民宿のハマダにたどりついた。観光でやってきたつもりだったが、観光するような場所はどこにもない。民宿の主・ユージ(光石研)や、春にしかやってこない不思議な女…

渋谷で唖然とす、あるいは『たとえ世界が終わっても』

たまには都内の空気でも吸わないと。渋谷も日曜の松涛界隈であれば、とくに昨日のような雨模様であればなおのこと閑静であり、職場が都内にあってあと少し所得があればこんなところに住みたいものだとひとりごつのであった。 とまれ、雨のなか思い切って渋谷…

肉体と哲学ですべてつながっている 『一万年、後・・・・。』

男(阿藤快)は、次元を飛び越えて、1万年後の世界にやってきた。昭和風の日本家屋に出現した彼は、1万年後にもいろいろなものが残っているものだと実感するが、もはやその土地は日本でなく、アメリカもない。建物の外は危険な世界だ。ときどき電波の障害で…

天使の遺言

ようやく手に入れたんです。デジタルフォトテクニック 2007年 11月号 [雑誌]出版社/メーカー: 玄光社発売日: 2007/09/20メディア: 雑誌 クリック: 22回この商品を含むブログ (54件) を見るいまさらなんて言わないで。 もう少しページを割いてもらえたのかと…

『一万年、後・・・・。』を観た

いくつかのブログに触発され、千葉くんだりから東中野まで、会社の瑣末事を一切投げ打って行ってきましたよ。感想は後日。ともかく、あと3回しか上映のない作品なので、鑑賞をお勧めしたくて書いている次第。これは問題作です。年末に1年間の映画を振り返る…

木曜深夜に『大阪物語』放映(関東地区)

関東地方にお住まいの皆様に告ぐ。何年振りでしょうか、地上波放送に『大阪物語』が帰ってきました。9/20(木)、27:15から(つまり正確には金曜日です)、もちろんテレ東です。 監督市川準、脚本犬童一心、撮影小林達比古と蔦井孝洋、そして主演池脇千鶴。…

新しくないことは古くならないということ 『包帯クラブ』

高校3年生、いまやその多くを受験生と呼ぶ。けれど、学生なんて大人になる前のリハビリみたいなものでしかない。やがて誰しも大人になる。子供のうちにあったたくさんの可能性は徐々に消えていき、大人になると、子供の可能性を消していく存在になる。ワラ(…

スーさんの卒業式 『釣りバカ日誌18 ハマちゃんスーさん瀬戸の約束』

スーさんこと鈴木建設創業者・鈴木一之助(三國連太郎)は、社長を退任して会長になった。その就任挨拶のとき、壇上でスーさんは頭の中が真っ白になり、なにも言えなくなってしまう。その危機はハマちゃん(西田敏行)が見事に救ったが、大きく落ち込んだス…