ラジオとともにあった

先日の『Little DJ』ではないけれど、小学生の終わりごろから今日まで、ラジオが本当に身近にある。はじめてその世界に触れたのは、おそらく父親が海外出張の際に持ち歩いていた短波ラジオが不要になって、僕が自由に触れるようになってからだと思う。遠いところでは、ドイツとエクアドルの放送を受信したことがある。
やがてラジカセでFM放送のエアチェックをするようになる。中学の時分、僕は札幌で真っ黒の空からしんしんと降る雪を見ていた。毎週末、ラジオから聞こえていたのは、ICEだった。そのメンバーの宮内和之氏が亡くなったという知らせは衝撃だった。
空気のようだったので、その存在に気づくのは容易でないが、たぶん僕の多感な時期はICEとともにあったのだと思う。「SLOW LOVE」「kozmic blue」「GET ON THE FLOOR」など、中学生には少々背伸びした楽曲が身に染みている。いまはどうか知らないが、当時の札幌はロックよりブラックミュージックが主流で、生意気な話だが、それが水に合っていたようで、彼らの音楽は生活とともにあった。
かねてより療養中だったとのことだが、少しの間とはいえ、彼のことを忘れていたことが悔やまれる。ラジオとともにあったあのころを思い出しながら、早すぎる一生に、せめて冥福を祈る次第だ。