2007-01-01から1年間の記事一覧

人生は笑えないコメディ 『サッドヴァケイション』

白石健次(浅野忠信)は、子供のころに母親に捨てられて以来、流れ者になっていた。しかし一方で、施設に預けている友人の妹・ユリ(辻香緒里)と、偶然拾ってきた中国人の子供・アーチュンの保護者でもあり、模擬家族の様相を呈していた。ある日、代行運転…

今年を代表するコメディの誕生 『GROW 愚郎』

敦(桐谷健太)は、学校で虐められ、家で酒乱の父親に襲われ、かといって仕返すでもない、居場所のない日々を送っていた。ある日、限界を感じた敦は廃屋に忍び込み、ロープで首をつろうとした。しかし、その瞬間、3人の男の怒号が聞こえた。現れたのは、学ラ…

台風すぎて日が暮れて

「いまいます」なんてタイトルが先頭にあっては格好つかないので、ひとまず更新します。家を出て10分で傘が大破して、会社に遅刻した以外は、平穏だったはずです。その割りにくたびれていますけれど。ああ今回も異動がなかったなあ。きっと第2ラウンドがある…

いま我が家の上空に台風がいます

会社近くで一杯やるのをあきらめ、せめて自宅近くで久しぶりにと思ったものの、その気も失せる暴風雨です。近くで停電も起きているらしいです。とりあえず家にいれば安全そうですが、コンビニで晩飯を買ってくればよかった。 それよりあしたですな。すでに僕…

夏が終わった

実は先週いっぱい、夏休みでした。こんなに長期に渡って会社を休んだことがなかったので、すでに休暇なのか失業なのか区別できない状態になっています。多分、まだ会社に机があったはず。なくてもいいんだけど。 さてと。どうしよっかなあと思ったものの、音…

カントリー・ヘリテージに友情をのせて 『遠くの空に消えた』

亮介(神木隆之介)は東京から馬酔村にやってきた。はじめは周りに都会育ちのいけ好かない少年として見られていた彼も、ガキ大将の公平(ささの友間)や毎夜天体観測している少女・ヒハル(大後寿々花)と仲良くなり、村になじんでいく。そんな彼らの友情と…

作品にもっと衝動を 『22才の別れ Lycoris 葉見ず花見ず物語』

43歳、独身の川野(筧利夫)は、平凡でも、上司と先輩と友人に恵まれて、これまで働いてきた。ある日、医者に無精子症と宣告され破れかぶれになった彼のもとに、いつも通うコンビニの店員・花鈴(鈴木聖奈)が現れ、援交しようと誘う。名前に覚えがあった。…

死に方を自分で決められるか 『シッコ』

おなじみマイケル・ムーアのドキュメンタリー新作である。今回はアメリカ医療問題に切り込んだ。アメリカ人にも、それ以外にも新鮮な話題になっていはずだ。というのも、アメリカでは民間の健康保険しかなく、病院へ行くにも保険会社の許可を要するのだそう…

新しい青春映画 『恋するマドリ』

同居人の姉が突然の結婚で去ってしまい、引越しを余儀なくされた結(新垣結衣)。新しいアパートには、個性的な人びとが住まっている。なかでも真上に住んでいる大野(松田龍平)はちょっといい男だが、愛想がなさすぎる。あるとき、以前の住まいに忘れ物を…

スクリーンがくれた夏休み 『天然コケッコー』

山陰の農村、小学校と中学校は同じ建物で、全校生徒はたった6人。右田そよ(夏帆)はいちばん年上の中学2年、でも同級生はいない。ある日、東京から転校生がやってきた。大沢君(岡田将生)はそよの初めての同級生にして、「イケメンさん」だ。都会的な大沢…

硬軟そろえた大河的佳作 『夕凪の街 桜の国』

終戦から13年、皆実(麻生久美子)は母(藤村志保)とふたりで暮らしていた。疎開していた弟を除いて、ほかの家族は皆、原爆で死んだ。自分は生きていてよいのかと自問自答する毎日。多くの人が抱える苦悩だが、誰もそれを打ち明けようとはしない。会社の同…

暑いんだしかし

今年の夏は家で冷房を使うのをやめたのですが、喉の調子が悪くならない代わりに、暑さにぐったりしています。寒がりの道産子ですから、ぶるぶる震えるぐらいならまだましだと思うのですが。逆に、映画館に行くと冷房が効きすぎていて(2度上昇設定などあるら…

真に小学生向き 『ピアノの森』

祖母の体調が思わしくないため、東京から片田舎の町に引っ越してきた雨宮修平(神木隆之介)。父親はピアニストで、自らもそうなるよう、幼少から特訓をさせられてきた。転校先で、天真爛漫な少年・海(上戸彩)と出会う。彼は森に捨ててあったピアノを我が…

誰でも惹きつけられる人情噺 『河童のクゥと夏休み』

小学生の康一(横川貴大)は、ある雨の日に、川岸で大きな石を掘り上げた。その石を洗っていると、なかから河童(冨沢風斗)が現れた。河童は、何百年も前の大地震で生き埋めになってしまい、名前さえも忘れてしまったという。康一はクゥと名付けた。クゥは…

馬鹿馬鹿しい戦争の姿を証言 『陸に上った軍艦』

脚本家・新藤兼人は32歳で戦争に召集された。当時、脚本家として花開こうとしており、また妻を亡くした直後だった。絶望とともに海軍に入隊した新藤をはじめ100人の兵隊の任務は、予科練の日常の世話だった。新藤は1度も海に出ていない。南方に出兵した仲間…

意外にも家の映画 『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』

携帯電話が全域で県外という山間の村。炭焼きを営む和合家の主とその妻(正確には後妻)がトラックに撥ねられて死んだ。残されたのは、後妻の子の長男・宍道(永瀬正敏)、その新妻の待子(永作博美)、前妻の子の次女・清深(佐津川愛美)、それから多額の…

森の国、森の映画 『殯の森』

山間部にある老人ホーム。新任の真千子(尾野真千子)は幼いわが子を亡くしたばかり。仕事をする姿も硬く、なんとなく影がさしている。そのホームで暮らすしげき(うだしげき)は、はじめはなかなか真千子を受け入れなかったが、徐々に心を開き、真千子も明…

上半期ナンバーワン邦画は

すべてを台風のせいにするのは台風に気の毒ではあるけれど、この週末は映画館に行きませんでした(海の日は仕事なのです)。観ないとなあと思っている作品はいくつかあるのですが、月末まで新たな注目作もないんですよね。いよいよ『天然コケッコー』の公開…

要領がよすぎやしないか 『ドルフィンブルー フジ、もういちど宙へ』

沖縄美ら海水族館には、何頭ものイルカがいる。そのなかでも、フジはちょっと変わっている。沖縄にやってきて30年、ほとんど芸を覚えなかったけれど、3頭のイルカを生み育てた。だから、ビッグマザーと呼ばれ、親しまれている。その水族館に獣医として赴任し…

飽くなき挑戦に感嘆 『転校生 さよならあなた』

一夫(森田直幸)は両親の離婚により、母親に引き取られて信州にやってきた。そこは一夫が幼いころに暮らしていた土地だった。転校した先には、幼馴染の一美(蓮佛美沙子)がいた。一夫は一美のことをほとんど覚えていなかったが、一美に連れられるまま、湧…

長く緩やかな坂を上るように 『サイドカーに犬』

薫(松本花奈、ミムラ)が自転車に乗れるようになったのは、小学4年の夏休み。そう、母親が家に帰らなくなって、ある日、ヨーコさん(竹内結子)がやってきて、そのヨーコさんが乗り方を教えてくれたのだった。ヨーコさんは母親とはぜんぜん違った。きちんと…

いつの間にか散財していた

今年も何とかボーナスをもらえるって言うから、預金の残っているいまなら散財していいよなと思ったわけですが。うっかりしていたのが、帰省の航空券の支払い。これと今月の家賃で預金を引き出したら、ものすごく厳しくなったじゃないの。で、その直前までに…

プロローグを楽しむ 『アヒルと鴨のコインロッカー』

春。椎名(濱田岳)は大学に進学するため仙台にやってきた。初めてのひとり暮らし、ご機嫌にディランなど歌いながら荷解きをすすめていると、その男(瑛太)は後ろに立っていた。河崎と名乗るその男は、出会ってまもなく、一緒に本屋を襲わないかと不可解な…

もう少し深みがあれば 『きみにしか聞こえない』

リョウ(成海璃子)はいつもひとりだった。正確に言えば、勝手にひとりのつもりだった。ある日、携帯電話の形をしたおもちゃを拾ってからというもの、頭のなかで電話のベルが鳴り響いた。電話の相手は、シンヤ(小出恵介)と名乗った。やがて彼とは、1時間ず…

出ました密室の名画 『キサラギ』

如月ミキは、2006年2月4日、謎の死を遂げた。あれから1年。ファンサイトの管理人・家元(小栗旬)の呼びかけで、安男(塚地武雅)、スネーク(小出恵介)、オダ・ユージ(ユースケサンタマリア)、いちご娘(香川照之)が集まり、1周忌を兼ねたパーティが催…

6月のセレナーデ

18日の話ですけど、いつもどおり酔っ払って帰宅して、タイピングも微妙な状況でいつもネット界隈を探索していたところ、韓国映画『愛なんていらない』の上映が決まったということで、小躍りしながら画像をDLして壁紙にしたものです。ムン・グニョンも、はや…

120分とは思えぬ疲労感 『舞妓Haaaan!!!』

修学旅行で京都を訪れた際、迷子になって花街にたどり着いた公彦(阿部サダヲ)は、舞妓に会って衝撃を受ける。以来、舞妓と芸妓にしか興味がなくなってしまう。あるときついに、京都支社への異動が決まり、有頂天に。しかし一見さんお断りのお茶屋のしきた…

健全と不健全では測れない 『14歳』

深津(並木愛枝)は、中学教師をしている。それは自身が14歳のころ、彫刻刀で教師を刺してしまったことと関係があった。自分の生徒たちに正面から向き合おうとしているが、彼らの心理をうまく読めず、逆に生徒や同僚からはじかれていく。一方、深津のかつて…

 映画の面白さが伝わる 『しゃべれども しゃべれども』

噺家は、お客さんに聴く気がなければ喋っていないのと同じ。喋りたいだけなら壁に向かって喋っていろ。いつまでたっても客の心をつかむ話のできない、頑固でまじめ一辺倒の二つ目の落語家・今昔亭三つ葉(国分太一)は、師匠の小三文(伊東四朗)にそう言わ…

入梅にはまだ遠く

このまま夏になってしまうんじゃないかという錯覚に襲われます。衣替えも終わり、大阪物語でおなじみの「夏が来て短いスカート風よ吹け」の風情です。 そんななか、滅多に見ないテレビでunoのCMにどっぷりはめられてまいっています。やっぱり山崎真実はいい…