120分とは思えぬ疲労感 『舞妓Haaaan!!!』

修学旅行で京都を訪れた際、迷子になって花街にたどり着いた公彦(阿部サダヲ)は、舞妓に会って衝撃を受ける。以来、舞妓と芸妓にしか興味がなくなってしまう。あるときついに、京都支社への異動が決まり、有頂天に。しかし一見さんお断りのお茶屋のしきたりの前に、知り合いのいない公彦はうなだれるしかなかった。ところが天は味方した。社長(伊東四朗)が京都支社を閉鎖しないのは、趣味のお茶屋遊びを続ける口実なのだった。
この作品が、植木等の最後の出演作になった。鼻歌交じりに花街界隈を散歩するのだが、思っていた以上にヨボヨボだった。誰でもそうなるときがあるとは分かるものの、隠れることなく飄々とあり続けたことに、心を打たれてしまった。そういえばこの作品、日本一シリーズに似ている。もっとも、主人公は出世が目的でないというところが現代的なわけだけれど。
それにしても、くどい。ほぼ120分、絶叫と急展開の連続で、さすが宮藤官九郎水田伸生、飽きないのは折り紙つきだが、ぐったりした。阿部サダヲのハイテンションこそ、現代の出世物語なのだろうか。彼じゃないと成立しないストーリーなのかもしれない。でも、僕には昭和のテンポがいいみたいだ。
ところで公彦が懇意にする駒子という舞妓がいるのだが、あらこの子どこの子と思っていたのですが。このお嬢さんが小出早織というのだね。舞妓姿のよく似合う子だ。古風な感じの役どころで活躍できそう。大林宣彦のノスタルジックな世界なんてすごくいいんじゃないだろうか。