出ました密室の名画 『キサラギ』

如月ミキは、2006年2月4日、謎の死を遂げた。あれから1年。ファンサイトの管理人・家元(小栗旬)の呼びかけで、安男(塚地武雅)、スネーク(小出恵介)、オダ・ユージ(ユースケサンタマリア)、いちご娘(香川照之)が集まり、1周忌を兼ねたパーティが催された。ただ楽しく過ごすだけのつもりが、オダの一言をきっかけに、事件の真相を深刻に語り合うことになってしまう。
いやあ、これはいいよ。すごいよすごいよ。結論を言っても面白い映画もあるけれど、これは敢えて伏せたほうがいいね。で、観た人同士でニヤッとするのが愉しい。原作者でもある古沢良太の練られまくった脚本、密室空間の使い方、主要5人の熱演。そしてなによりも佐藤祐市監督の演出力! 『シムソンズ』はまぐれじゃなかった。女の子の映画から、(永遠の)男の子の映画へ。同性が観ても腹を抱えて笑えるんだから、もう文句のつけようがございません。5人のヲタ芸はしびれる。
小栗旬って、たぶん初めて演技を見たけど、すごくいいよ。こういうヲタいるいる。愛情が真っ直ぐすぎて、ほかのヲタとぶつかることもあるんだけど、でも行儀がいいからつながりも多い。どこで学習したんだ...って、話題の振り方がわざとらしいか。たとえ、アイドル研究が過ぎて現実のアイドルをひとりクビにしちゃったとしても(妄想しすぎ?)、この作品にはそのぐらいの価値はある。
感想はこのぐらいにしたい。舞台でやったほうが似合うんじゃないかと思うけれど、舞台であれば僕は見なかったろうし、より多くの人が観られる術としての映画という意味を考えると、評価を高くせざるを得ない。とにかく観るべし。この作品を観ずして、今年の邦画シーンを語れない。