中学生って、中学生って 『青空のゆくえ』

中学生の日々って、札束をドブ川に捨てるようなものかも知れません。なにをしたって充実しきれない、戻りたいようで戻りたくない、後悔と懺悔の連続です。なのにこの歳になってみると、あんなにじれったいのに、どうして爽やかに映るのでしょう。友情とはかくも脆いものか。一升瓶を真ん中に車座になってしまえば、万事がすぐに吹っ飛んでしまうのに。
長澤雅彦監督の最新作は、『藍色夏恋』を思い出すような、言わば耽美な青春群像劇といったところでしょうか。オーディションを経ているとはいえ、とくに男子(!)において演技に難があり、またカメラの視点にも少々不満があったために、前半は心配しました。ただしそこは長澤監督、散らばった点と点を丁寧につなぐように、ゆっくりストーリーを進めます。最後には、セリフやしぐさ、カットの構図のひとつひとつがなんとも爽やかで、思わずハッとさせられました。
この作品、最近にしては珍しく、「キャラ設定」というものを後回しにしています。それでいて「みんなが主人公」のような構成になっているので、ひとりひとりの見分けがつくかどうかがある種の試金石になります。そんななか、やっぱり多部未華子が一段上にいました。森田彩華も終盤になってグッと艶が増してきたので、なんだかちょっと惜しいです。キャストの名前をよく知らないのであとで補足するかも知れませんが、最後の屋上のシーンはみんないいんですよね。エンドロールへのつなぎも素晴らしい。
なんだかんだで後を引いてます。たまにあるんだよな、こういうの。