久しぶりに夢中で観てしまった 『運命じゃない人』

昨晩、大学時代の友人たちと飲んだうえ、うちひとりのところに厄介になってしまい、今朝フラフラの状態で新宿に流れ着きました。当初は2本勝負をやろうと思っていたのですが、午後になっていよいよ身体が辛くなり、悩み挙げた挙句、これだけを観てきました。
キャストにもスタッフにも覚えがなかったために、なんとなく避けてきたのですが、観たのは大正解でした。たとえば、これを観ないで今年の映画シーンをあれこれ言うのは、なんだかルール違反のような気さえします。いまから、今年度のいろんな映画賞でどう評価されるのかが楽しみですよ。みちのく国際ミステリー映画祭の新人賞最有力候補ですね。
僕はたいてい、スクリーンと対話といいますか、このカットいいなあとかここで暗転したらかっこいいなあとか、それこそあとで感想を書くのに便利そうなことを考えながら観賞しています。自然とそうなっちゃうんです。でも、今回は不覚にもそれができませんでした。内田監督に完璧にしてやられました。これはまったく大袈裟でなく、初めてモンティ・パイソンやMr.ビーンを見たときと同じぐらいやられました。
これも一種のシチュエーション・コメディといえるのでしょうか。時間や視点のズレの、多面体の見せ方がものすごい。手法がバレても十分楽しめるとは思うけれど、はばかられるんだよなあ。万人が同じところで笑って、楽しみを共有できちゃう。僕みたいなツボのずれた人間にも優しい。おまけに書けば、この作品は舞台では再現できないし、テレビドラマにもできない気がします。とすると、まさに映画としての映画、といったところでしょうか。
あんまり感想らしい感想を書いていませんけど、書けないんです。映画を観てあんなに笑ったのって、いつ以来なんだろう。