「TUBE」を観てスッキリしたことにする

いや、実際はスッキリしない結末なのですが。スッキリしてたまるか。ハリウッドの白人博愛映画じゃあるまいし。言い過ぎました。
アクション映画はまずもって観ないのですが、ペ・ドゥナが出ているというただそれだけの理由で、迷わず観て、非常に満足でした。先月、盛岡にペ・ドゥナがやってきた際、「頑張れグムスン」を楽しく観られた人にはあんまり面白くないかも、と言っていたのですけど、あれだけ迫力あるもの見せられたら適わんわ。ペ・ドゥナも終始でまくってて、すげーかわいいし。もう圧倒されまくり。
たぶんこの映画に関してはなにを言ってもネタバレになりかねないので、明確なロジックと無駄を省いたスマートなアクションに興奮したとだけ書いておくけれど、少なくともあれを日本で作るというのは無理ですな。途中まではリメイクしたときの配役をあれこれ考えていたのですが、無理がありすぎる。やっぱり兵役義務のある国の人は、目つきが違いすぎる。役者の問題だけじゃない。カット、編集の仕方も、あそこまで計算しつくされたものを出してくる人を僕は知らない。あとは、韓国ならではの「権力の脅威」が重い。
そうは言っても、日本映画がこの作品から学べるところは多いと思うのですね。誰かが率先して、アクションをジャンジャン作ればいい。しかもこの作品と同じで、VFXは極力使わないようにして。それは韓国に追いつくためではなくて、そこで得られた経験を、伝統的な日本映画に活かすためです。日本には黒澤とか小津とかいう偉大な監督がいて、彼らが作ってきた文化を大事にしていくのがいいと思うのですけど、新しい試みをやめないことがとても大事で、きっと今はそういう時期に来ているのです。
それにしても韓国のすごいところは、政府から援助してもらって作られた作品が、思いっきり反体制的なイメージを持つことがある点ですね。金大中盧武鉉と、もともと反体制的思想を持った人が大統領を歴任していることが、ずいぶんと(言論の自由に裏打ちされた)文化の繁栄に寄与しているようです。僕の国は、あそこよりももっと自由なはずなんですけど。先日観たようなクソ映画ばっかり作られたらしんどいものがあるなあ。