今回もやられた 『アフタースクール』

ここのところ心身ともに調子がよくない。厳密に言うと、体調がおかしいときと精神面の不調が交互に訪れて、なかなかバランスをとりにくい状態が続いている。しかし月末に控える会社の健康診断のことを思えば、体重も減ってきているし、悪い話じゃない。ただでさえ乏しい勤労意欲がいよいよ滅亡しそうなことが、職場にばれかかっているのは問題だが。
そんなわけでおよそ気合を入れて感想を書く気分でないのだが、『アフタースクール』をようやく観てきた。やっぱりいい映画を観ないと、身体が腐るね。重い腰を上げて観た甲斐があった。内田けんじ監督には、今回も思いっきりやられた。より強烈に翻弄された。そればかりか、人情噺にしっとりとさせられ、格好よくもあった。上半期でいちばんの出来映えかもしれない。
すべての役者がいい。大泉洋がこんなにもこの作品にはまるとは思わなかった。アドリブなしの完全犯罪的脚本で活き活きするとは。舞台役者の強さを思い知った。舞台といえば、北見敏之にもしびれる。山本圭の背中も格好いい。あるいは、田畑智子の色気に、僕はどうしても弱い。
終盤、佐々木蔵之介堺雅人のどちらにも、身につまされるものを感じてしまって、止めを刺された。佐々木のシニカルさと堺のいいひとっぷりの、どちらも我が心の友人で、人生の退屈さがにじみ出ている。生きることに不器用なときは、斜に構えるか、知識で武装するか、無私の慈悲を持つか、神様に祈るかしかできない。でも、どれも中途半端なんだよね。だから退屈な人生だと思われる。
でも、スカーッとした。ちょっと気分が楽になった。