なんとなく60点 『酒井家のしあわせ』

次雄(森田直幸)は次男で、兄は父と一緒に交通事故で死んだ。いまは継父(ユースケ・サンタマリア)と母(友近)、その間の子とともに暮らしている。反抗期だ。ある日、継父が出て行った。"男"ができたのだという。母は実家近くに引っ越すと言っている。むちゃくちゃな酒井家は幸せになれるのだろうか。
評判を耳にして急遽観てみた。たしかに脚本はキッチリしていて、うまいといえばうまい。ただ、唸るようなうまさではないし、むしろ整っているという表現のほうが正しい感じがする。監督はスクリプター出身だそうだけれど、そのあたりと関係があるのだろうか。
しかし、もっとキャンパスをはみ出すようなあくの強さがほしいところだ。なんとなく整っていて、なんとなくストーリーが転がっていて、なんとなくハッピーエンドで、なんとなくオチがついて終わる。友近の芸で、「あーこんな女いるよなー」というのがあるけれど、「あーこんなシーンあるよなー」の寄せ集めというか、なにかプロトタイプづくりでもしているかのような印象さえしてしまう。
たぶん、もうすぐこの映画のことを忘れてしまうと思う。唯一それがなかったとしたら、谷村美月のせいだ。いままでずっと注目していて、でもいまひとつぐっと来なかったのだけれど、今回はついに来た。かわいらしくも、ちょっと悪女。そういえば小学生の時分、まさにこんなタイプの子に言い寄られたことがあった。いまいちどこういう子にまんまと引っ掛けられてみたい。