ちょっと寝ました 『キャッチボール屋』

タカシ(大森南朋)は会社をリストラされ、とりあえず故郷に帰ってきた。久しぶりに高校時代の野球部OBたちと飲んだくれ、勢いで当時好きだった女性を探しに東京に出てしまう。が、朝になってすでに記憶なし。どうして東京に来たのか、自分は何をしたいのか。何もかも分からないまま、わけの分からない仕事=キャッチボール屋を請け負うことになってしまう。公園が閉鎖されるまでの10日間、ヘンテコな商売を続けながら、さまざまな人と交流していく。
10分100円、ただキャッチボールをするだけというアイディアは、なかなか面白い。人には誰しも、キャッチボールの相手がいる。ある人は息子であり、またある人は生涯忘れ得ない勝負の相手であり、あるいは、相手が誰なのか探している人もいる。ついにはかつて高校野球で対戦したふたり(寺島進松重豊)が対戦することになって、それによって人びとの心が晴れていく。
ということなんだけれど、ストーリーがあまりに牛の歩みで、ついついうとうとしてしまった。あれだけ間の伸びたシーンを撮り続けられるというのも、監督や脚本家の技量だと思うけれど、それにしても、なんとも退屈だった。僕が疲れていただけならいいんだけれど。あるいは、それが狙いだったとしたら。そんなわけないか。
この作品、主演の大森を含めて、バイプレーヤーのオールスターゲームみたいな作品だった。寺島、松重、そして光石研。かれらの名演こそ、この作品の魅力となっている。彼らに多くを語らせず、背中に物申させた脚本と演出がいい。