うちの会社を見ているようで涙ぐましい 『県庁の星』

町内の廃品回収は月末の日曜日。どうしてそういう日の朝に限って、二日酔いなんだろう。またもや機を逸してしまいました。あー、部分的に記憶がないんだよなー。
ともあれ、少し気分がよくなったので、観てまいりました。僕の性格上、あまり気の乗らない種類だったのですが(僕はそれを"よほど暇なら見にいく作品"と呼んでます)、脚本が『東京夜曲』の佐藤信介だということで、そこだけに期待を持っていました。
さすが、期待は裏切りませんでしたね。脚本にしても演出にしても、うまいもんだなあと。細かい部分にも丁寧で。県庁とスーパーとが、大袈裟にならないギリギリのところで対照的に描かれていて、それはリアリティというところからは一歩引いているものの、表現として必要な部分です。むしろスーパーの研究をずいぶんやったのでは、と思わされました。調理場や肉の加工場のおっちゃん、おばちゃんたちは、うちの会社のパートタイマーを思い出します。
そう、どうも僕の働いている会社を見ているようでならなかったんです。マニュアルなんかないし、おんぼろなシステムで動いてるし、やたらパートタイマーが幅を利かせてるし、管理者は頼りないし。ギリギリのところで踏ん張っているところも、「県庁さん」が在庫整理で泥臭く動き回るのも、見ているとついつい会社を思い出してしまって、無駄に感情的になってしまいました。
あとは、やっぱり織田裕二がいいんですね。スクリーンを私物化せんとばかりにコッテリした感じがあって。うまいうまくないという区別ではなくて、主役しかできない人がやるべくしてやっているので、それに納得せざるを得ない。彼の映画なんです。年に1本、マンネリでいいから彼の映画があるといいかもしれません。風物詩として。
そう考えると、彼以外の役者はみんな、彼のためにあるということになるでしょうが、間違いではないですね。とはいうものの、井川比佐志をはじめ、みんないい演技でした。意外にも好感度の高い作品でした。