ここまで楽観的でよいものか 『晴れたらポップなボクの生活』

いつ鑑賞したのか忘れましたが、ついついなにも書かずに何日も経ってしまいました。ほとんど記憶が風化していますが、なんとか記録ぐらいはしたいと思っています。
いま僕の頭のなかで残っている印象というのは、ひとつは、全体的になんだかよかったとも悪かったとも言いがたいよなあ、という点でした。こういうことを書くと、また偏見由来ということになるのでしょうが、単館でレイトのみという興行作品にしては、とても落ち着いた作品になっているとは思います。
河川敷で暮らすホームレスの話なのですが、ストーリーが、河川敷を飛び出して旅に出るユウさん(池畑慎之介)を軸に、ときどき河川敷の人びとを取り上げながら進みます。ユウさんはともかくとしても、主人公(矢部太郎)を含むその他のホームレスたちは、おそらくずっと河川敷で暮らしていくはず。それを、かなり楽観的に、オルタナティブな生活として提案しているような感じさえ窺えます。
しかし、彼らは決して自給自足ではない。少なからず食わせてもらっている立場です。それを異端児ではなく、「オルタナティブな生活」の括りで扱うことの是非というのはあってよいはずです。あくまでやむにやまれぬ事情が前提にあるということが、作品にはなかなかでにくかったのが残念です。
ところで、池畑慎之介のホームレス姿がたいへんなことになっています。もちろん、ホームレスらしからぬ肌質の良さは否めませんが、それ以外は、あまりの変貌振りに見とれます。あの怪演が、この映画のすべてといってもいいかもしれません。彼だけを追ったメイキングがあったら、是非観たいものです。