頑張り過ぎで泣けてくる 『さよならみどりちゃん』

会社の事情で東京に出たついでに、さあてなにを観てやろうかと品定めをしておりましたら、たまたま終了間近だったのがこの作品。もうほとんど運命的ななにかがあったとしか思えません。
というぐらいに、唸りました。いかにも低予算で単館系な感じながら、実は他のどんな作品よりも松竹っぽい。思わず『犬猫』を想起しましたが、より確信犯的。いずれにせよ、家族の姿や食事の風景が見えないのは残念ですが、「映画を観た!」という爽快感は計り知れません。自己満足じゃないよね?
古厩監督の作品ははずかしながらこれが初めてだったのですが、頑固なカットですね。わざとなのか、予算の都合なのかは知りませんが、カメラの高さがかなり定まっていて、またあまり大きな動きを見せない。もっといろんなカットを試せばいいのに、と言いたくなるほど。構図もいいし、視点があることの安定感をまざまざと見せつけています。
そして、星野真里。体当たりも体当たり。頑張り過ぎですよ。そこまでしなくてもという思いと、そこまでしなくてはならない事情に、思わず涙が出ます。あのやる気が大資本に認められることを祈るばかり。華のあるいい演技でした。西島秀俊も良かった。
驚くべきことに、今年の指折りの秀作です。それは携帯からダイアリーを更新したくなるぐらいに!