パク・チャヌク監督って面白いのね

すっかり書くのを忘れていましたけど、会社の事情で日曜日まで東京におりました。ほとんど飲み会のために行ったような感じなのですが、まったく遊びではないもので、非常に疲れました。ただでさえ時間がないので早めに帰らせてもらって、夜行バスに乗ったのですが、急に気が緩んでひとりひっそりと涙を流しました。慣れるまでえらくたいへんな環境だなと。あと、連れ添いがほしいと思いましたね。大人になるんだ、もう泣かないさ、と言ってみたい。
とはいえ、そんななかでも夜中に抜け出して(解放されたあとに)映画館に行くというのがこのわたくしなのです*1。とりあえず映画を観ているあいだはほかの事を忘れられますから。でも今回は、3日間で2本しか観られなかったのです。というわけで、週末にかけてます。
さて。もっと優先的に観たい作品もあったのですけど、時間が合わないわ満席だわで、結局「復習者に憐れみを」になりました。パク・チャヌク監督にも興味があったし、ソン・ガンホペ・ドゥナとくれば、見ないわけにもいかなくなる。という作品。
前置きが長い分、感想は短いのですが、この監督は2つの方向から見た不条理や悲哀を分け隔てなく描くのがうまいし、それを目指しているのだなと感じました。おもえば「JSA」も「オールド・ボーイ」も、あのなんともいえないモヤモヤした感じが共通してます。この作品ではもやもやの原因がハッキリと提示されている分だけ、分かりやすかったようです。
とくに、これは気を遣ったのかなと思ったのは、感情表現の部分でした。韓国文化はとくに感情を表に出すことを美徳とするところがあるようで、映画のなかでもよく泣くし、よく怒るし、よく酒を飲んで暴れます。ところがこの作品では、スクリーン上での感情表現が観客の感情を喚起するような場面はあまり見られませんでした。これもこの監督の作風なのでしょうが、韓国文化の前提を知っているだけに、これはすごく怖いんですよね。全体の静けさも相俟って(長回しが多い)、僕にはホラー映画に感じられました。ずっしりと重いホラー。
この作品は2002年に現地で公開されたようですが、たった2-3年しか経過していないのに、ソン・ガンホがすごく若々しくて、彼の身にいったいなにがあったのだろうと思いました。「殺人の追憶」とまったく違うし、「大統領の理髪師」も見たいのですが、これともまた違うみたいですし。パク監督は韓国で新作を撮影中で、ペ・ドゥナも夏に日本映画を控えてます。どうやら、この界隈がかなり面白いらしい。
(追記)鑑賞代、1500円。

*1:念のため、初日の夜ですからねと書いておきます。誰が見ているか分かったものではありませんから。