「シルミド」は外国人たる僕たちには理解しづらい

ちょっと余談から。
昨日の晩、暇だったので未消化だった市川準監督「東京マリーゴールド」のDVDを観ました。たしか映画館で3回観ているので、これが4回目のはず。大人になってまじめに見る作品としては、間違いなく最多回数です。なのに、飽きないですね。それどころか、すごく新鮮なんです。新たな発見に感動します。今年劇場で観た作品にもいいものはいろいろありましたけど、これは別格。素晴らしいの一語ですね。
ちなみに特典映像に「ほんだし」CMの初期のものが7本収録されていますけど、はじめのほうは田中麗奈がまだ高校生役なんです。それがだんだん大人になっていって、映画になるぐらいの年齢を経て、未収録の最近の作品では、もうすぐ結婚するところまで来てしまっている。その歳月を思って、思わず涙が出ました。
さて、「シルミド」を観てまいりました。長かった。ちょっと疲れた。ちょっとどころではなく退屈だった。感情移入しなかった。まあそんなところですね。
なんか批判めいてますけど、それはちょっと違うのですよ。つまり、観るという行為そのものに意味があるんです、この作品の場合は。とにかく「実尾島事件」という歴史を紐解いて、世に知らしめるという作業がとても大事だった。事実、韓国内でこの作品が公開されていたときは、現地メディアの話題を独り占めにしていました。「実尾島事件」の生き残りという人物が、まだ健在なんだそうです。
そんな事情なので、同胞たちには衝撃的な事件だったのでしょうが、僕のような「外国人」にとっては、理解しがたい部分が多く(韓国内向けなので歴史背景が省かれている)、しかも日本国内はなんらタッチしていないので、ノンフィクションとして捉えづらいのです。たとえば阪本順治監督「KT」のような刺激は得られません。でも、それでいいといえば、いい。
とはいえ。やっぱりこの作品をアクション映画として楽しみにしている人も少なくないようです。そういう方にはガッカリかもしれませんね。僕はそれを「JSA」で味わいました。それでもソン・ガンホの演技やイ・ヨンエのきれいさに感激したことは付け加えておきますがね。
(追記)朝鮮日報のシルミド特集はかなり詳しいです。知識の埋め合わせができます。どうも実尾島以外でも同じような訓練がなされていたようです。