ポスターに負けて観ちゃった「天国の本屋〜恋火」

この作品を素晴らしいと思った人は、この先を読まないほうがいいと思います。あらかじめ、それだけは書かないといけない気がします。
率直な感想は、篠原哲雄監督はやっぱりつまらんということですな。いや、そうは言ってもあれだけたくさんの作品を撮ってる人ですから、ただ僕と波長が合わないだけかもしれませんが。それに僕も、篠原映画は「はつ恋」以来2作目ですし(あれが退屈だったのでそれ以来敬遠してた)。それでも、今作で泣ける人がいたら、相当に感度がいい。
なんでしょうね、あの監督の、クライマックスに持っていくまでのプロセスの不器用さって。何が悪いというより、もう全体なんですよね。それで、散々じらしたうえで最後に至るわけですけど、これが「それなりの」盛り上がりなものだから、おいおいもう少しそのまま引っ張れよと突っ込みたくなる。今作でいうところの花火ですね。花火の映像だけで10分は引っ張ってよかったのに。
おそらく、あの監督の最大の持ち味は、スタッフの実力が存分に発揮される点にあるのでしょうね。脚本だったり、音楽だったり、演出だったり、大道具だったり。今作を見て、「はつ恋」がそれでも佳作だったと思い直したのは、脚本の長澤雅彦や、音楽の久石穣の尽力によるものだったようです。あるいは、田中麗奈の瑞々しさや、真田広之の名演もありました。
今回も、音楽の松任谷正隆にかなり依存してます。しかし、以上でした。スタッフに、原作への愛情を感じません。そして、ストーリーを多少書き換えてでも、丁寧に作品を作ろうとする気概を感じません。どうせ、将来テレビで放送するときのために、2時間以内でうまくまとめようとすることしか考えていないんです。製作者が竹内結子をどんな役者なのか分かったうえでキャスティングしたとはとても思えませんし、竹内と香川照之のやり取りは、「はつ恋」の田中と真田のやり取りをちょっとちんけにした焼き直しだろ。それはあかんて。
あ、勢いに乗って書きすぎたので、これ以上は自粛しますね。同時期に公開されてる同監督「深呼吸の必要」はいったいどんな出来になってるのかと、違う意味での好奇心が沸きますね。主演は香里奈だし。なんというギャンブル。なに、香里奈ってテンカラットなのか。ポスト田中なわけね。はあ。