「リアリズムの宿」は、最強でした

就職活動で気が狂いそうです。やっと今朝、盛岡に帰ってこれたというのに、スケジュール調整の結果、今日中にふたたび東京入りする可能性が高くなりました。恐怖です。あ、上唇に吹き出物ができたよ。うわー。
そんな疲弊した状況で、とんでもない作品を観てしまいました。知る人ぞ知る山下敦弘監督と山本浩司のコンビです。今回は、長塚圭史尾野真千子を加えて、最強ワールドを築き上げちゃいました。
すごいのなんのって。あのシュールさ。ほかのどの役者と監督をもってしても、同じ原作であれを上回るものは作れないだろ。とにかく最初のシーンから、すでに空気が気まずい。その気まずさが、ちょっとしたハプニングへの戸惑いを大きくして、ひとつひとつを解消できないまま、次の戸惑いに至る。でもそれは全部、ただのさびしい日常の一部でしかなかった。リアルがそこに留まっていたんだ。
どうも、原作というのがつげ義春の「会津の釣り宿」と「リアリズムの宿」の2作品だということなので、前半が前者、後半が後者ということなんだと思う。前半は腹を抱えて笑えます。後半は、笑えますけど、グンと切なくなります。いずれ、それほど作品の内容は理解できません。きっと。
やっぱり、カットがいい。主演のふたりの、似ていたり、対照的だったりする性格やしぐさを、とにかくふたりいっぺんに撮る。どちらか片方だけが映るシーンというのは、それほど多くない。だから、というわけでもないけれど、ふたりが別々の行動をしていても、それでひとつのカットにしている。ただボーッとしているときも。
そして、セットもすごい。たぶん。あの「シュールな普通」をわざと作るのは、すごいなとしか言いようがない。いくらそういう民家や風景をそのまま使うにしてもだ。
それからそれから、書くのを忘れちゃいけないのが、オノマチ。裸で爆走するオノマチ、コートを着たオノマチ、湯上りのオノマチ、浴衣のオノマチ、水割りを飲んでるオノマチ、あの年齢で女子高生になっちゃうオノマチ。かわえーです。そして山下ワールドに完全に染まってます。
これから全国を回るようなので、見てみるといいですよ。これはおすすめ。
私事ですが、今しがた公式サイトでクレジットを見たら、「協力」のところに知り合いの名前があった。なにやったんだ、あの人。