マイルドな国、日本

これについては沈黙が金になり得ないと思うので、眠い目をこすりながらでも書かないといけないのだろう。なにも書かないで済む展開を期待していたのに。日本語が少々おかしくなるのは眠いせいということにしておいて欲しい。
靖国」というドキュメンタリー映画が東京中のすべての劇場で上映中止になってしまったらしい。経緯はいろんなブログでたくさん取り上げられている。思想的に保守のほうの僕にしてみても、呆れた話だとしか言いようがない。非難するほかない。
誰に批判しているのかと言われれば空を切るような展開になるが、尖ったものを避ける空気が支配している。なにかあると困るので、という劇場の気持ちはよく分かるが、記憶に残せない映画が跋扈しているなかで、マイルドな態度だと思う。誰かが脅迫しているなら警察に相談したほうがいい。いまどき国会議員先生のご意見で左右される映画ってあるのか。『バトル・ロワイアル』の初日は大勢の高校生が詰め掛けた。続編も出来た。安易に儲かる映画で溢れているいまの映画界にも責任がある。
マスコミもどうかしている。いやずっと前からどうかしているが。マスコミナントカ労組が抗議したという記事が掲載されているが、労組は公権力が上映を中止したという前提でそれを批判しているのであって、映画として上映に値するかどうかの判断とは別問題だし、抗議するときにしか前面に出ない組織のことを記事にしても意味がない。マスコミそのものが、作品を試写したうえで、堂々と意見しなければならない。リンクを貼るのも面倒だが、北海道新聞の社説など読むに値しない。マイルドすぎる。
思想も、自由も、温室では育たない。非難とか矛盾とか葛藤とかのなかで洗練されるものなのだから、上映そのものを避けることが、どの主義主張にとっても、自分の首を絞めることになる。自主上映でもいいが、どんなに小さくても、映画館での興行に期待したい。映画は映画館で見るものだと思う。偏った思想が内容だとしても、三文芝居を観るよりずっと面白いし、批判するなんて朝飯前だ。