マリーゴールドのころ

予想外の仕事の忙しさに打ちのめされて、今日はBGVに映画『東京マリーゴールド』を流しています。ここ数日、やっぱり頭のなかの半分以上はこんこんのことで埋まっていますけど、そうすると、この映画のことを思い出すのです。
マリーゴールドはキク科の1年草。エリコとタムラは1年間限定の恋愛をします。次の冬には終わると分かっているのに、その日が近づくと、エリコは眠れず、食事も喉を通らない日々を送ります。しかしやがてふたりの関係は終わります。1年後に実を結んで枯れていくマリーゴールドのように。
その後のある日ひょんなことから、エリコは、タムラに関するちょっと笑っちゃうような事実を知ることになります。呆気にとられて、いままでの自分がなんだかバカバカしくなって、お腹が空いてきます。マリーゴールドは、また新しい花を咲かせようとしています。
筋が前後しますけど、今日はなんだか、気持ちが吹っ切れてきたエリコが空に向かって吐く台詞が印象に残りました。「大丈夫、積もる雪じゃなさそうだし」。
僕はこんこんに、市川準の世界をずーっと見てきたように思います。本当はスクリーンで観たかった。きっと小津安二郎が言うような、その者の内面にあるものが演技を規定する、そんな作品を作れたのではないかと思うのです。それが悔やまれるまま、きっといま、マリーゴールドは静かに枯れていくのでしょう。それは積もる雪じゃなさそう、なんでしょうか。
やっぱりうまく書けませんでしたね。明日はまた違う映画を流そうかしら。