細かいことに目をつむれば案外楽しいぞ 『ルート225』

打って変わってこちらは、教育テレビよろしく、少年少女のコメディ調ミステリー。
ある姉弟が突然、彼らだけパラレルワールドに移動してしまい、なにからなにまで微妙に違う世界で生活する羽目になる。しかもそこには両親はいない。という展開を見せるので、『千と千尋の―』と同じ方向でいくのだろうと勝手に解釈していたのですが、意外にもそこから逸れていきました。
いまにして思えば、子供から大人になる過程をうまいこと表現しているような気がするのですが、それが元の世界に戻るためのプチ冒険活劇とどこまで関係しているのか。ふたりだけが移動してしまった答えを、彼らは最後に発見したことになっているのですが(提示はしていない)、いったいなんなのか、あるいはどうやって発見したのか。なんだかもやもやとしたものが頭についたままですが、もっと子供のような、低い視点で作品と向き合ったほうが、意外と飲み込みが早かったのかもしれません。いや、やっぱり難しかったのかなあ。
とにかくひとつ確実なのは、僕の場合、ストーリー以上に多部未華子に真剣になってしまったということでしょう。それで作品の意味が云々と書こうとしたのだから、ちゃんちゃらおかしいと言われても仕方ない。だって彼女目当てで劇場に出向いたんだもの。きれいさやかわいさからすれば、ほんのちょっとしたズレのようなものが、余計に気を留めさせます。あの身体の線が好きだなあ。ただなんでもない服を着ているだけなのに、ぐっと来るものがあるんだよなあ。
すっかり説得力を失っていますが、住所表記の案内板や列車の切符など、どうでもいいディテールに目をつむれば、なかなか作りこんだ脚本で楽しめます。