青春映画を嫌いになれない病 『スクールデイズ』

天才子役と呼ばれた少年は引退後に「ふつうのこども」として生活するものの、学校ではいじめられ、家庭は崩壊寸前。この状況を脱却すべく受けたオーディションで学園ドラマの出演が決まるが、演技でもいじめられっこ。やがて現実とフィクションがごちゃ混ぜの生活になって、ラストを迎える。
イデアはすごくいいと思うし、主演の森山未來は好演しています。「永遠の生徒役」山本太郎には笑わせられるし、久しぶりに見た市川由衣のまたかわいいのなんの。相変わらずどんな青春映画でもなかなか否定できないのです。やっぱりヒロインで大方の評価が決まる。
とはいえ、わざわざ劇場で観るほどのものだったかどうか。ストーリー展開は非常に面白いのだけれど、散々ないじめられ方をしているのに暗さがない。ノイローゼになった母親という設定が不可解で、しかもラストになぜか回復しているのも不可解すぎる。市川由衣は明らかに脱ぎ損・襲われ損。それもこれも、テレビ的な軽薄さが全体を覆いつくしているからなのです。
テレビの世界では、誰が見ても同じ印象だけを受けるようになるまで敷居を下げる、という技術がますます必要とされていると思います。視聴者もバカにされたもんだなあと感じますが、身につまされる部分がないでもない。しかし、高い金を払ってまで観る映画が、テレビ的敷居まで下がって、なにが面白いのだろう。だったらおうちでDVDでも見れていればよくないか。
最後に。主人公・相沢の家族の食事は、いつもハンバーグというのはどういうわけでしょう。意図があるのかもしれませんが、どれをとってもうまそうに見えません。たぶんラストに出てくるハンバーグはうまいという設定なんでしょうけど。