そして今日も腹が減るのだ
昨日から、不意に見つけたこんな本を読んでおります。
- 作者: 貴田庄
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2003/05
- メディア: 文庫
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脱線しましたが、小津安二郎の映画にも、確かに食事のシーンがいろいろ出てきます。家でとる食事よりも、どこかで一杯やっているシーンのほうが印象的なのは、小津自身がグルメで気取り屋だったせいなのかもしれません。
著者の貴田さんという方をまったく存じ上げなかったのですが、小津研究をずいぶんされているようです。読みづらいわけではないのですが、文章が決してお上手ではない。ただ、どうやら解読に難儀する膨大な資料で文庫サイズの書籍を仕上げることに苦慮されたと見えて、時折出てくる自身のエピソードには活き活きした描写もあります。そしてなにより、巻末に掲載されている小津の「グルメ手帖」の内容は、この書籍のお手柄でしょう。読んだらどこかの店にふらっと行ってみたくなる、というのが目論見なのですから。たぶん。
本文の半分以上を読みましたが、小津はコレステロール値が高そうな食事が好きですね。決して長生きしませんでしたが、あれだけこってりとしたものを好むのに身なりが大きくならなかったというのは、彼にとって幸運なことだったでしょう。
こんな本を読んだのが悪いのか、昼飯が控え目であったためか、夕刻となり、そして僕は今日も腹が減るのです。なあんにもしていないわけなのですが。