そういえば書いていなかった感想ふたつ

そろそろ内容を忘れつつありますが、結論めいたことを書けば、ぜひとも内容を忘れたかったので、ちょうどよいです。それ以上のことは、文言から汲み取っていただきたい。

「海猫」は激しい時差ボケ、20年ぐらいの

先週で興行が終わるというタイミングになって、実は蒼井優が出演しているという情報を聞きつけ、ただそれだけの不純かつ正当な理由で観てきたわけですが。思いっきり脇役でした。覚悟してましたが。
とはいえ僕もそれなりに大人ですから、作品の出来がよければその旨はきちんと書きますよ。書ける時は。前作「阿修羅のごとく」がよく出来ていただけについつい期待してしまったわけですが、とにかく森田芳光節は非常に際どいんだなということをつくづく実感いたしました。イロモノをやるときは、もう徹底してイロモノにしちゃって、2時間中1時間半がベッドシーンでいいと思います。余計なドロドロで(いやそちらが本筋でしょうが)萎えます。でもほんの数年前まで、日本映画というとこういう雰囲気のが多かったような気がするのですがどうですかね。人気がなかった頃の。
もっともですね、監督に同情できないでもない。まさか伊東美咲があそこまでああだとは思いませんよね。最近は新人であっても、あるいはいくら大根だといっても、日頃からドラマを見慣れてリテラシーが高くなっているせいか、それなりのことはしてくれるものなのですが、彼女のうちにはテレビがなかったのでしょうか。この辺からもレトロな匂いがして、萎えます。まあいいです。ここは開き直って、全国津々浦々に「イトーミサキスト」を精製し、部外者にはその良し悪しがまったく判別できないような、目くるめく眩暈の世界を展開すべきです。せめて乳首ぐらい出さんかいドアホ。

ホワイト・バレンタイン」は、配給権を買った会社が悪い

なんでもチョン・ジヒョンのデビュー作なんだそうで、ただそれだけの理由で日本での公開が決まった5年前の作品です。盛岡でもたった1日だけ興行があって、お客さんもわりと多く来ておりました。客層を見るに、チョン・ジヒョンファンか韓国ブームの乗っかりのどっちかというのが分かりやすく出ておりました。彼らのお陰で韓国映画がずいぶんたくさん公開されるようになったので、いい連中ではあります。友達にはなりにくいでしょうが。
いろいろと書きたくないことがありますが、とくに内容については触れたくありません。実に退屈というか、お昼寝にお誂え向きでした。寝ませんよ。お金が勿体無い。ただ1点だけ、中学生を演じたチョン・ジヒョンが、「ちょっと待って、神様」の泉ピン子のようだったことだけを記しておきます。
この作品、どこでもそうなのか知りませんけど、DLP方式とかというもので上映されておりました。要するにデジタルなのですが、「ハウル」でも採用されているぐらいに技術的には確立されているようです。が、やっぱりうまく再生できる劇場とそうでないのがあるようで、今回は、映像はぼけて、ちょっと遠くの人を顔で同定できないし、音声は思いっきりモノラルで、大きくなったり小さくなったりするしで、これで通常の料金を取るなんて鬼だなと思いました。
これ、もう作品の製作者がよい悪いという問題を超越しています。そりゃ韓国にだってピンからキリまでいろんな映画があります。技術的に劣っていて、当地からも批判されちゃうような作品だってたくさんあるはず。そういう作品は、海外にフィルムが運ばれることなく終わるものなのですが、今回は不幸なことになってしまった。どうせどんな質でも儲かるのを分かってて、確信的に配給してるんですから、お客も舐められたもんです。ブームの負の側面ですかね。