ハットリくんを真に楽しめるのは外国人か

あまり見る気もなかったのですが、先日、田中麗奈好きの友人がやって来た際に、なんだまだ上映しておるのか、じゃあということになり、なんとなく見てきました。「NIN×NIN 忍者ハットリくん THE MOVIE」。久しぶりに劇場に入って、場違いな思いをしました。
よくよく考えてみれば分かることなのですが、観客は、小さな子供のいる家族ばかりなのですね。そうか子供用の映画だったのかと。ではその子供たちが楽しんでいたのかというと、それがよく分からない。スクリーンの前で暴れるような光景はまったく見られず、親のほうの笑い声がわずかに聞こえだだけでした。
では親のほうに向けた作品なのか、というと、それがまたそうでもない。アニメを見て育った世代からしてみれば、まったく別の作品だとしか思えないはずでね。いっそ割り切ってしまえば平気なものの、やはり多少なりとも期待して見に来ているわけだし、そこは辛いところです。
と、大人にも子供にも見放された感が強いこの作品ですけど、アニメのことをまったく覚えていない大人の僕としては、それなりに面白いところもありました。演出が完全に破綻しているけれど、そこは子供映画なんだと思って割り切りました。興行側からすれば、ものすごく都合のいい客ですかね。
この作品、B級コメディとしてはなかなかのものだと思うのですよ。B級にしては制作費が凄まじいと思いますけど。でも、誇るべきB級。すべてを諦めたうえで見る面白さは、「いかレスラー」に匹敵すると確信しております。その切り口だと、脚本のマギーも、音楽の服部隆之も、及第点どころか満点クラスです。
とするとですね。これはもはや、ワールドワイドな作品なんじゃないかと。というか、欧米人のほうがゲラゲラ笑って見てくれるように思えます。べつに国内での興行成績が悪いわけではないですけど、作品の名誉のために、いっそアメリカで成功させてみてはどうでしょう。どうしてさっきから懸命に擁護しているのか分かりませんが。