なぜ、その競技を始めようと思ったか

JOCアテネオリンピック日本選手団を紹介するページには、選手ひとりひとりの「競技を始めたきっかけ」が書かれています。どの競技にも共通して多い答えは、「友人に誘われた」「親に勧められた」「家族が選手だった」「近くにクラブがあった」「入学した学校にその競技の部活動があった」といったところでした。つまり、圧倒的多数の選手たちは、他力によって競技を始めたことになっているのです。運命なのかもしれません。世が世なら僕もメダリストだったというわけです。嘘です。
そんな凡庸な答えを発する選手たちのなかにも、わずかながら、変り種が仕込まれておりました。たとえば。

広島カープという球団は、木村選手のために存在しているような気がしてきました。野球以外のことを知ってたら、あの球団には長くいられますまい。お金のこととか。
しかし。僕が知りたいのはそんな情報ではないんだ。バスケも、水泳も、野球も、身近なスポーツじゃないか。人気、あるじゃないか。僕が生きてきたなかで、1度として目撃したことのない種類のスポーツに、友達の友達にだって競技者がいないような種目に、こんなにたくさんの選手がいるのはなぜだ。彼らは、なぜその競技を始めようと思ったか。それを知りたい。
とはいえ、前述のように、どんな目立たない競技であっても、きっかけはわりと凡庸な場合が多いことが分かりました。いや、そもそも凡庸であること自体が脅威だとは思うのですが。「フェンシングやらないか」とか言われちゃうんですよ。ナチュラルに。その人間関係は、大事にしたほうがいいですね。
でもやっぱり、間違って入門しちゃった人がいるんです。そう、僕が探していたのはそういう人。間違ったのに、オリンピックに出ちゃってる。もはやそのことを間違いだと言ってくれる人はいません。なんだかんだ言ってトップアスリートに「なっちゃった」ほうの人たち。

  • 高校一年生の12月、3月の大会に出場するのに部員が足らず、仮部員として借り出された (ホッケー駒澤李佳選手
  • スポーツクラブで働いていた頃です。会員の方に大会参加を薦められて、断る事が出来ず、仕方なく (トライアスロン庭田清美選手

親しみのない競技の世界に飛び込むのは、勇気のいることです。そこを強制力で突破できたのは、幸運なのかもしれません。それがなければ、あとはバイタリティしかないですから。

端的なきっかけとしては、「テレビで見たから」なのですが。どんなコメントをつけてやろうかと思案しているうちに、こっちが疲れてきました。
いろんな選手がいます。いろんなきっかけがあるんです。その運命が、ちょっと羨ましい気もします。他力本願ですけど。誘ってくれる友人や、家族や、環境があるということは、すごく幸せなんですね。きっと。ただこのひとりを除いては。

ラーメンを食べれるから始めた

ウエイトリフティング山田政晴選手、24歳。安い。安過ぎる。かつて千代の富士は、飛行機に乗れるという理由で入門を決意したと言われていますが、こちら、推定600円で心を揺るがされてます。ラーメンからはじまるアテネ。ご馳走様でした。