倉木麻衣のコンサートに行ってきました

2年前の仙台公演以来になります。
で、うー、どういう感想を書くとうまく伝わるのか分からない。良くも悪くも倉木麻衣らしく、また良くも悪くも彼女の関係者らしいコンサートだったというのが、一番端的な表現なのかしら。彼女のコンサートというのは、おとなしいんです。サイリウムは禁止だし、ヲイッ!と叫ぶ人もいません。せいぜいジャンプするかしないか。もちろん法被を着た人もいませんし、鉢巻もないです。会場前で男衆が円陣を組むこともありません。わりと家族とかカップルとかで来る人が多いのも特徴でしょうか。基本的に1階席とかアリーナ席とかは総立ち、休憩はありません。休憩なしと言えば、下手をすれば手拍子にも休憩はありません。一生懸命やりすぎると、手が腫れます。
前回参加したときは、そんな不器用なコンサートを彼女らしいと思って見た記憶があります。座席が遠かったせいもありますが、その少女の存在感はものすごくちっさくて、ステージの上から、か細い光を放っておりました。明らかにライブ慣れしておらず、MCもぽつりぽつり。歌唱に関しては、声量は足りないながらもきわめて丁寧で、それを観客は、やや不安がりながらも親のごとき心持ちで見守ったものです。非常にまっすぐな性格という印象が残りました。MCの途中で彼女が涙ぐんだことを忘れてはおりません。アンコール前の最後に、そんな私にしてくれたデビュー曲を聴いてください、なんて言われた日にゃ、こっちまでグッと来るというものです。
思い出話に花を咲かせている場合ではありません。今日分かったのですが、歌が上手くなってます。音響が改善されたせいもありますが、声量も少しは上がったと思います。なんにしろ、歌唱に関しては心配する必要がなくなったというのが素晴らしい。しかし、相変わらず会場の空気を暖めるのに時間のかかるコンサートですね。覚悟はしてましたが、いまだに手拍子しまくりになるとは。MCも相変わらず。はみ出したことを一切やらないし、ハプニングのひとつもないというのは、事務所の方針なんでしょうかね。あんなにお行儀の良過ぎるステージアクトをまず見たことがないです。
とかなんとか言っててもですね、アンコールの頃になるとのめり込みましたね。音感がいいのでアカペラをやれるのはいいことです。それを最初にやれば空気も変わったろうに。3曲歌っていよいよステージを去って、僕も帰ろうかというときに、肩にタオルをかけてピンで舞台挨拶をしにステージに戻ってきたときには、完全にハートを鷲掴みであります。そのときに初めて本人の口から何かを聞いたような、そんな印象さえ与えられます。これは明らかにトラップですよ。それを分かっていながら、やっぱり感動せずにはいられないという、これ悔しいですね。
僕は、これまで彼女をアイドルという枠で見てきました。だから、別に歌が上手くなくてもまあいいやと思ってたのです。でも、今日見た彼女は、まったくアイドルではなかったですね。なんだかすっかり座長公演みたいになっちゃって、存在感はあるし(もう目つきからして!)、権力を握ってそうだし。でもその権力は茶番で、あんまり暴れると事務所から絞められる。彼女もそれを知ってるから、決して暴れるような真似はしない。途中からは妄想ですが、あながち間違ってる気はしないです。これからは歌手としてだけで見なくてはならないようです。すると課題は山積しているというか、迷走が予想されるのが心配といえば心配です。そういえば、彼女には大黒摩季という偉大な先輩がおりましたね。それ以上は書けませんが。
ちなみに、発売初日にチケットを購入した僕ですが、いざ会場に行ってみると、僕の座席はありませんでした。なんだか骨組みの真下で。スタッフに訴えたら、PAの斜め後ろにぽつんと座らされました。あれは居づらかった。後ろを見たら誰もいないし。当日券の人よりも後ろの座席とはこれいかに。なお、僕が肉眼で確認しただけで2名ほど、前のめりの手拍子の方が居られました。それは民謡ですよ!そんな、たいへん牧歌的なコンサートなのでした。