ほほう、「ホテルビーナス」がやっちゃいましたね

モスクワ国際映画祭で賞を取ったというニュース。ちなみに作品への僕の感想はid:tarchin:20040330#1080637645にて。やや辛めの評価になってますけど、それは僕が日本人だからという部分が大きいはずです。というのも、僕たち日本人は、テレビの世界の卓越した映像技術を映画以上によく知っているわけで、スクリーンの中でその臭いを嗅ぎ取ってしまうと、チープな印象を抱いてしまうこと必至なわけですね。もっともこの作品の場合、感想にも書きましたが、完全にテレビ的にならずに、映画の持つ独特のゆとりを取り入れようと努力したように感じられましたので、その点は評価したいところです。
ただ別の見方をすると、最近の日本映画にとって排除できない影響力がふたつほどあると思います。ひとつ目はテレビです。たとえば堤幸彦とか宮藤官九郎とかが作り上げてきたテレビドラマの世界観や編集技術は、見る者への刺激としては強烈ですので、スクリーンの世界でも、意識しないわけにはいかないはず。それからふたつ目は、韓国文化です。映画にしてもドラマにしても音楽にしても、ストレートでメロメロでベタベタです。でもこれが受けるんですよね。言葉の差はあっても見た目に大きな違いはないところの作品群ですし、やっぱり注目せざるを得なくなる。
そうやって刺激を受けて作られた作品は、日本人からすればありふれたものばかりかもしれないのですが、アニメーションの世界と同じで、独自の高等技術が世界的に評価されるようになるわけですね。これはこれで新しい日本映画の展開として見てもいいのでしょう。
そこで「ホテルビーナス」に話題を戻すと、上に挙げたふたつの影響力下にあって、しかしどちらかに完全に依拠してしまうわけではなく、あくまで日本映画であることを示しつつ、バランスを取り入れられたことが評価されたのではないかと、勝手に推察しております。