極楽浄土と「世界の蘭展」

ひょんなことから、母親と「世界の蘭展」というものに行ってまいりました。ふたりともさして蘭に興味がなかったためさっさと会場を後にいたしましたが、会場の混雑ぶりは大したものでした。次から次へと、どこから湧いたかというほどの大量のシルバーエイジたちが群がります。園芸趣味の者と、カメラ小僧シニアクラスの者とがごった煮状態。各所に配備されたスタッフの仕事は、展示物管理というよりも、入場者の体調チェックか。
会場の入った途端に、蘭をあしらった大きな作品が出現します。うちの母親はそれを見て、「葬式みたい」と呟きました。そう、蘭は極楽浄土のイメージです。モニュメントや多数の鉢植えは、イメージのハレーションを引き起こし、シルバーエイジを極楽浄土へといざなっているのです。シルバーエイジもそれと気付いているのか、ひとりでに蘭に吸い込まれていきました。ああ、合掌。
悪い冗談をこれぐらいにしても、まさに蘭を中心に据えた、シルバーエイジの祭典でした。会場にはなぜか、介護用品の展示ブースや、8割引のブランド品金品の販売所があり、異様な光景でありました。無料招待券をもらえるなら、入場者ウォッチングのために再び訪れる価値がありそうな気がしました。そのときには僕もカメラ持参で。蘭以外のものを撮るために。