「チルソクの夏」と「えびボクサー」

土曜日は、前日と打って変わって、お家芸の「女の子が出てる映画」を観てまいりました。クソ映画でした。合掌。たとえB旧映画と覚悟したうえで観たとしても、かなりしんどかったはずです。僕の場合、期待せずに観はじめて、30分で退屈になり、60分で帰りたくなりました。残念ながら両サイドを観客で固められていたので、尿意と空腹に耐えながら、最後まで大人しくしていました。ちなみに、予告編を含めるとしっかり2時間はあります。
これは完全に、観客のノスタルジーに依拠した作品です。だから、1970年代の日本に思い出のない人間にとっては、観る価値はまったくありません。もっとも、主役の水谷妃里、あるいは上野樹里辺りのファンなら話は別でしょうが。ストーリーにしても脚本にしても粗雑で、時代考証もおそらく十分でない。さらに主役に華がなく、結果、伏線なのかどうか分からないサブストーリーに時間を割かざるを得ない展開になりました。現在のシーンをモノクロ(しかもセピア!ああノスタルジー。)で、回想のメインをカラーで、という手法は、「初恋のきた道」ですね。意識しまくりでしょう。
音楽にしても、当時(1977年から1978年にかけて)のヒット曲をふんだんに盛り込んでおり、なかでもイルカの歌う「なごり雪」は、ストーリーの大事な要素になります。主題歌にもなっているのですが、なにもこの曲でなくてもよかったでしょうね。たしかに、一瞬でおばはんから涙を頂戴する絶大な力を持っているとは思うのですが、「なごり雪」といえば大林宣彦ですよ。あれが佳作だったために、この作品で、しかも下関という舞台で使用されると、惨めで情けなくなります。
なにもかもがわざとらしい。現在のシーンの田山涼成カーネル・サンダースみたいで面白かったのですが、まあそんなところですね。この監督の作品は二度と観ないと思います。
にしても、観客の多さに驚きましたね。見終わって劇場を出ると、客が階段に並んでました。年配の人と、30代ぐらいの男が多かったですね。もっと違うもん観に行けよ。あれより面白いものでよければ、俺がいくらでも紹介してやるのに。
で、新幹線で盛岡に帰ってきて、おバカな友人どもと夕飯を食べているうちに、どういうわけかビデオをレンタルして夜中に見ようということに。アホなもんがよかろうと思って「えびボクサー」をチョイスしたのですが、正解でしたね。アホ過ぎて死にそうでした。というか、あのタイトルをつけた人間は心底偉いと思います。あのストーリーは、タイトルからは想像できませんから。プロモーションの完全勝利。ついつい誰かを不幸にしたくて、「お勧め映画」としてホラを吹きたくなります。