Xリーグがつまらなかった

最近、会社最寄の駅で毎朝、熱いのに大声を出してアメフトの試合に呼び込む関係者たちを見てきた。この酷暑である。大変なことをしているなと同情するとともに、チラシに割引がついていたので、興味本位でスタジアムに行ってみた。Xリーグの今季開幕戦である。
アメリカンフットボールの知識が皆無なので、無知ゆえのルールの分からなさはともかくとして、BSで見たアメリカの試合のようなわけにはいかないようだ。ボールをやたらと落とすとか、遠投しないとかいうのは、ただの玉転がしだった日本サッカーと同じ系譜なので、とやかく言うまい。しかし、残り10秒でダラダラとクォーターが終わるのを待つのはいかがなものか。負けているチームはそれで満足するのか。10秒を頑張れないぐらい力尽きているのか。その程度か。
選手のテクニカルな問題はこのぐらいにして、いっそう問題にしたいのは、応援のためのチアガールたちだ。この子たちはひどい。とてもよく練習している。アメリカナイズされた素晴らしい所作である。ただし、応援に関しては、下手というより、意味がない。あれもアメリカなのか。
偶然にも、防戦一方のチームの側の席にしたが、応援は「レッツ・ゴー・ディフェンス」しかない。それしか台詞がない。僅差でも大差でも、陽気に踊って「レッツ・ゴー・ディフェンス」と言う。それ以外はない。相手に点が入っても、陽気に踊って、「レッツ・ゴー・ディフェンス」。気が狂っている。
そのときの状況が分からないのだろうか。フットボールのためのチアリーダーなのだから、ルールは知っていないと意味がない。誰がどんな動きをしたからいまがあって、どうすればいいのか、誰を応援すればいいのかは、分かるはずだ。分からないなら、せめてもっと脱げ。その状況に応じた応援があるはずなのに、30点差あって、残り10分をイノセントに応援するのか。
バカだ。即答するバカ (新潮新書)という本があるが、応援が感情抜きの単純労働と化している。いつの日か、そんなロボットに毒される日が来るのだろうか。その日の前に、せめて人間を3Dのビデオに替えてほしい。あんなのはビデオでいい。あれが資本主義なら、いつでも共産主義者になれると思う。