楽曲大賞ウォッチング

ついに1位の楽曲のポイントが4桁に到達したのですね。ヲタ層そのものがさして拡大していないとすれば、単純に敷居が低くなってきたということになりますから、たいへんよい傾向です。集計する方の苦労に思いをいたします。
その結果というのが、ものすごく興味深いと思いませんか。いよいよ「嗜好ベクトルのフロー」が形となって見えてきました。もともと嗜好には、ほぼ誰しも「モーニング娘。」という地盤があって、価値観の違いによってそこからの距離を保ち続けてきたと思うのですが、コンテンツの多様化と「推し」の卒業といったきっかけで、「そもそも」を飛び越えた嗜好基盤の多極化が起こりました。
何週間か前にも書いたのですが、ハロプロを近代の縮図として捉えると、いまや後期近代・再帰的近代にさしかかってきており、その意味では予定通りの現象が起こっているだけです。ただ、その「嗜好ベクトルのフロー」があまりに顕著な形で現れています。
分化にはふたつのポイントがあります。それは「歴史と伝統を捨ててベリーズ工房を推せるか推せないか」「推しメンが卒業したらどっちについていくのか」というほとんど踏み絵みたいなものです。たぶん、いまこの踏み絵を突きつけられているのは、4期がきっかけでヲタになった人たちだと思うのですね。
しかし、こんなにも急激にベリーズ工房へ移動していくとは思いませんでした。しかも楽曲大賞の結果を見ていると、彼女たちの楽曲で上位に入ったものはすべてシングル曲なんですよね。企業が売りたいものに対して素直に好反応を示している。これってヲタ的テリトリー感覚とはちょっと違う。とはいえひょっとすると、新しい着地点で始まったさらにミニマムな近代の縮図なのかも知れないので、慎重にウォッチングしています。
一方、居残った「また娘ヲタやってる」僕を含めたたくさんの人たちは、クローズドなテリトリーをウロウロしている。結局、そうでない人たちはフローのなかに移行しつつあるのだから、これからどんどん保守的になっていきます。だからなんだって言われると、それが一番困るんですけど。
ところでこんこん人気って、去年は偶然なんだと思ってましたけど、不動なんですね。これすごいわ。ガキさんとかまこっちゃんとかって、永遠の2推しなんだろうなあ。