はてなキーワード「紺野さん*1」と公共の利益

まじめなことを書こうとしているので、ちょっと緊張します。でも、僕が書くのはちょっと説得力に欠くのかしら。こう見えてステークフォルダーだからね、一応。
はてなキーワードには、苗字に「さん」をつけた語句がいくつか存在するようです*1。こういったものがキーワードとして成立するためには、そのキーワードに対する固定されたイメージがないといけません。ただ、世間のきわめて多くの人びとにその固定観念が通ずるというのは、実際にはあり得ないでしょう。なので、はてな「村」にある特定の「島」での言及用として使用されるのが一般的です。「紺野さん」の場合は、言わずもがなですが、モーヲタ界隈という「島」で通じるキーワードということになります。もっともはてなキーワードの性質上、別の「島」において同一キーワードに他の意味が存在してしまうと厄介なので、この障害を慣習的にクリアできることが、ほぼ条件化しています。
前置きが長きなりましたが、はてなキーワード「紺野さん」の解説が、先週から驚くほど簡素になりました。具体的には「→「紺野あさ美」の事。」という具合です。僕ははてなダイアリー市民なので、更新履歴から更新者を調べてみたところ、モーヲタでないとあるはてなダイアリー市民が、議論の醸成を待たずして内容を書き換えたことが分かりました。その理由とは、「同一人物に対して二つの説明は不用」というものでした。
この氏の主張はまったくもって正しい。正しすぎるので、僕はいまこうしてリファを送らないように気をつけながら書いているわけです。問題は、この正しさに基づいた氏の行動が、果たして公共の利益、すなわちはてなユーザにとっての利益に資するものであったのかということです。わざわざ更新するぐらいですから、はてなユーザにとっての利益を少しでも向上させる方向に導くことが、はてなダイアリー市民にとって必要な資質でしょう。その点に顧みて、果たして適当な行動であったのか。
かなり提案的ですが、はてなキーワード「紺野さん」解説に関する利益享受については、重層性(二層性)があると思います。下層は、はてなユーザ全般がそのキーワードの意味を理解できるという利益。そして上層は、島(=モーヲタ界隈)のユーザが、規約を逸脱しない範囲において、そのキーワードページを「楽しみ」のために利用するという利益。
後者は一般的な言説とは言えないかもしれません。しかし実態として、「紺野さん」は圧倒的に上層が重視されており、更新前の解説文(及びコメント欄)は、その要素を多分に含んでいました。付け加えるならば、「紺野さん」が「紺野あさ美」を意味することは明記されていたし、規約に違反した解説ではありませんでした。いまとなってはそれを証明する手立てがなくて非常に残念ですが。その「ある島の人にとっての」楽しみという名の利益を、「ある島に属さない人にとっての」基準で不用と判断されるには、是非を巡る議論が必要でしょう。少なくとも、関係者たる島の人の意見を吸収しようとする過程ぐらいは。
さらに書けば、下層においては不用であったかもしれない解説文ですが、不用とはいえそれを削除する必要が、果たしてあったのでしょうか。削除しようがしまいが、下層的利益は変化しなかったのではないかという疑問があります。仮にそうであったとするならば、島の外にはあまり理解されないだろう上層的利益のためにその不用部分を残すという、いわば儀礼的無関心を装うことはできなかったものでしょうか。
この問題は、はてなが万単位でユーザを抱えるサイトであるがゆえに生じましたが、サイトが巨大化する際には必ず通過しなければならない問題なのかもしれません。過ぎたことに対して感情的に言及する必要を感じませんが、せめてこれを経験として捉えて、ひとりでも多くのユーザの利益に資する参加を実践することにしたいですね。いかがでしょうか。
ふぅ。ここまで来るのに3時間かかったなあ。頭がボーッとする。

*1:たとえば「平畠さん」とか「石川さん」とかがある。