ジョゼ!ジョゼ!ジョゼ!

もっと早く感想を書くべきだった。記憶の問題もあるけど、早く書いたほうが、無骨でもなんとかなるからね。
ついに念願の「ジョゼと虎と魚たち」を観ました。来月に盛岡でも公開されるのですが、待ちきれなくて、新宿でスケジュール調整をしちゃいました。
とにかくね、ジョゼが最高!これに尽きる。あんなキャラクター、いままで出会ったことがない。監督もプログラムのなかに記してあるけれど、もっとたくさんジョゼを観たかった。ジョゼが笑ったり泣いたり怒ったり、寝たり食べたり散歩したりするのを、もっとたくさん。そしてそんなキャラクターを作った池脇千鶴、ちいちゃんが凄すぎるんです。
キャスティングは絶妙。でもやっぱりちいちゃん。ほんとにすごかった。彼女について僕は、「大阪物語」から、おそらくすべての映画を観てるんですけど、正直なところ、デビュー作以後のちいちゃんに若干の伸び悩みを感じてました。どうもアイドル女優としての自分を引きずってるような、それでいてアイドル然とできないような。ちょっと使いづらい役者かも知れないと思ってました。
でも、ジョゼで吹っ切れたんじゃないかしら。すごく伸び伸びとしてるし、持ち味を活かし切れていたし、表現もとっても豊かだった。あんまりいい演技をするもので、共演の妻夫木聡が食われぎみだった(とはいえ、彼もすばらしかった)。脇役たちもよかった。ひとりひとり挙げていくと切りがないけど、とにかくみんなよかった。
シーンでいうと、やっぱりラストだね。恒夫が泣くんだよね。あれに、ジョゼという人物を取り巻く人々のすべてが現れてる気がした。筋を書くのを避けるけど、一度でもジョゼと深く関わった人は、必ず泣きながらも彼女を愛しちゃうんだ。
実はこの作品はラブストーリーであると同時に、ジョゼの自立をも描いていて、初めの頃に登場するジョゼはスラムの少女みたいだったのに、最後には質素だけどきれいなお姉さんになっている。そして、台所での最後のカット。カメラを台所で固定して、腕を伸ばしてジョゼが焼き魚の乗っかった皿を取る。このカットによって、ジョゼという名の伝説が誕生して、新しい人との新しい悶着を予感させるんだ。わくわくするラスト。スタッフロールに入る瞬間、思わずニヤッとしちゃったよ。
たぶん僕は、盛岡でもこの作品を観ちゃうんだと思う。ジョゼ中毒になりそう。作品として完璧、とまでは言わないけど、ジョゼには絶賛しますよ。
ところで、上映中に喋る客っていうのは、本当にどうにかならないかね。東京は気軽に映画を観られる分だけ、気軽に見ようとする客が多い。予告編の間中ベラベラと世間話をするオバハンにもイライラするんだけど、この映画を観てる最中は、横のほうで男が女に向かって喋ってる。もう男として最低。映画館では映画にがっつくんだよ。それができないんなら、おうちでDVDで見るしかないの。